幸せのカタチ
□第六話
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「それで?何のようですかとお聞きしてるのですが?」
「素で話んしゃい」
「これが素ですが」
「クラスに乗り込むぜぉ」
「何のようよ?」
「ククッ・・・・・やっぱりお前さんは面白いのぉ」
別に面白がらせるつもりはない。
言葉遊びをしたい気分でもなく、視線を仁王から弁当に戻し箸で自慢のミートボールを掴んだその時だった。
傍に来た仁王が不意にその手を掴んだままミートボールを仁王の口の中に入れてしまった。
「ちょっと!!」
「お、うまい」
「当たり前じゃない!!今日のは超美味く出来たって言うのにアンタ・・・・・ぶん殴るぞ」
「おっおいおい、おかず一つで物騒やぞ」
「知るか!!」
「ちょっ、こっこれやるから落ち着け!」
そう言って仁王が取り出したのはサンドイッチ。
まさか、いや・・・・確か。
「あんた・・・・まさかそれがお昼ご飯とか言わないでしょうね・・・・・」
「・・・・・」
信じられない。
確かに公式の設定だと仁王は痩せてた。
肉好きなくせに痩せてて、丸井のほうが身長低いのに同じ体重だとか確かにうけたけど。
実際に運動部でしかもあんなドラゴ○ボールテニスをするハードスポーツを放課後に控えていて昼それだけとか、有り得ない。
「ハイ」
「なんじゃ?」
「あげるからこれ食べなさい!!」
「は?」
「は?じゃなくて、ほらそれは私が食べるからこっちはアンタが食べなさい」
呆然としている仁王を無視しててからサンドイッチを奪い取ると自分の弁当を押し付けた。
今日のはかなりの自信作だけど、見てしまった以上無視も出来ないから仕方ない。
「いいんか?」
「いいから食べなさい、見てるこっちが心配になるから」
「・・・・ありがとうナリ」
「いいえ」
そして奪い取ったサンドイッチを一口食べた時、ハッと気が付く。
のどかなお昼休み、木陰の最高なこの場所で、仲良く(?)お弁当を食べる男女。
一気に血の気が引いた。