幸せのカタチ
□第七話
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「うーん、私は別に」
「えー、丸井君だよ?藤原さん知らないの?」
「あっ、まぁ・・・・・・・家庭の事情で色々あから、残念だけど」
「不運ね」
これが不運だというのならそれでいいと思う。
そっと席からたって帰り支度をする。
そうか、もうすぐ大会かぁ。
もうそんな時期なんだなぁ。
自宅に戻り、ボーッと色々考えてみる。
二年、この年が全ての始まりになるんだなぁ幸村にとって。
そう思うと切なくなってくる。
私は、先の事を知っていても、何もしてあげられないのだから。
「憂鬱じゃ」
翌日のお昼休み、例の如く裏庭で昼食を食べている時に何時もとは違い何だか憂鬱そうな顔をした仁王が口にした言葉はまさに予想通りだった。
「・・・・どうしたの?」
「はぁー・・・・夏休み前の日曜日が久しぶりに部活が休みになったんじゃけど・・・・面倒な事になってのぉ」
「へー・・・それってさ、丸井達と一緒に女の子と遊んじゃおうぜ?的な話?」
「なっ!知っとたんか?」
「知ってたって言うか、その女の子達って言うのがうちのクラスの女子だったりするわけさ」
「藤原も来るのか!?」
「はぁ?んな訳ないでしょうが、私なんて誘われる訳ないし、何より誘われても断るっちゅーの」
「なんでじゃ?」
「何でって・・・・興味ないから?」
「・・・・・・つまらんのぉ」
そう言いながら満更でもない顔をするのは何でだ!?
まあ、あの女の子達のパワーをせっかくの休みに感じて潰す仁王達には同情せざる終えない。
「まあ、若いんだししっかり遊んでらっしゃいな」
「藤原もタメじゃのに、その台詞は可笑しいぜぉ」
「うるさいっ!私はいいのよ、私は!」
「またそれじゃ」
今のこの年齢で言われても困るものは困る。
中身が30近いんだ、30年生きてきたって言う記憶と意識はどうにもならない。
それが逆に、私と彼等が共にいられないのだと知らしめているように思える。