幸せのカタチ
□第八話
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本当、良い声しているなぁ丸井ブン太。
参加している男子の面子は、丸井に仁王に幸村、楽しそうに会話している所からみると他の二人もテニス部なのだろう。
周囲で交わされている会話の内容から推測すると、出来れば外れてほしい場所に向かっているようだ。
『夢と希望が溢れるドリームランド!皆遊びにおいでよ!!!』
なんかよくわからんマスコットキャラクターがCMしているこの最近できた遊園地のフリーパスを父親から貰ったのだと言う発案者の少年が自慢げに言ってた。
遊園地って・・・・・・この歳で遊園地でどう楽しめと言うんだろう・・・・・しかもこんな若い子達と。
ハッキリ言って拷問以外の何者でもないぞ。
ただでさえ、太陽に溶けそうな気分なのに。
「ククッ差し詰めピンチヒッターって所かのぉ」
「うっさい、話かけんなっ」
「機嫌悪いのぉ」
「断れば良かった、マジ後悔中」
「まあ、そういいなさんな。俺は藤原が来てラッキーじゃし」
「へーそーですか」
「つれないのぉ」
それ以上会話して下手に勘違いされたくなくて仁王から距離をとる。
憂鬱だと言い項垂れていた奴は何処に行ったのへやらだ!
しきりに楽しそうにこちらを見て笑っていた仁王は、ちゃんと社交辞令かもしれないけど愛想良く振舞っている。
中学生のうちからなんともまぁ、子供らしくない素振りをすることか。
仁王らしいと言えばらしいが、まだまだ子供でいられる時期に大人へ急ぎすぎているような気がして心配になる。
そんな事を思いながらグループの後ろの方を歩きながら、歓迎する気になれない遊園地へと向かった。