春だな、と呟いて去っていくリボーンを俺は眺めていた。
苛々する。
なんだよ、今の鳴とリボーンのやり取りは。
二人の秘密とか言ってたけど意味わかんねぇ。
だいたい、春だなってなんだ。
確かに今は春だけどリボーンがわざわざそんなこというわけないし…わざと意味深に言いやがってムカつく。
「鳴」
『はい?』
そう言ってきょとんとして俺を見る鳴がムカつく。
俺の気持ちを知らないからだけど、苛つくものは苛つくんだ。
「何、秘密って?何読まれた?」
鳴はビクッとすると目を泳がせてあー、とかうーとか口ごもっている。
『言いたく…ない、です……』
俯いた鳴に俺の苛立ちは益々大きくなる。
「リボーンには教えるのに、俺には言いたくないんだ」
『教えるって…教えたわけじゃなくて勝手に読まれたんです!』
「でもリボーンが読心術使えんの知ってただろ?読まれてヤバいこと考えるなよ」
『そんな無茶な!』
あーあ、鳴困ってるよ。
こんなのただの嫉妬だし、俺なにやってんだろ。
そうは思ってもどうしようもなく苛々するんだ。
俺ってこんなに独占欲強かったんだな。
「そんなふうに二人で秘密共有するくらいならさ…」
更に勢い余った俺は思ってもないことを口にする。
「今日は俺じゃなくてリボーンと出掛ければ?」
そんなこと望んでもないくせに、何言ってんだろう。