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□そして、
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「どこから?」
「ロートファミリー」
「………俺行かない」
「そう言うだろうと思ったぞ」
ロートファミリーはマフィア界ではそれなりに知られているファミリーだ。
そんなに変な噂を聞いたりもしないし、同盟ファミリーでもあるからそれなりに友好関係を築いている。
…のだが。
「………あそこの一人娘、ヴェラだったか?」
俺が頷くとリボーンはふうと小さく息をついた。
「強烈だからな、ツナの気持ちもわからなくない」
ヴェラには数ヶ月前にパーティーであったのだけど、なんというか…もう、すごいご令嬢だ。
何もしなきゃそれなりにかわいらしいのだが、なんでも俺に一目惚れしたとかで、俺に近づこうとする女たちを蹴倒すのだ。
そう
文字通り蹴倒すから困ったことになっている。
「なんであんな怪力なんだろうな…謎だよ俺」
乾いた笑いがもれる。
しかも不幸とは続くもので、ボンゴレの狸爺どm…古参のやつらがヴェラとの縁談に乗り気だ。
もう本当にうざいくらいに。
俺もそろそろ身を固めて後継ぎをつくれってことらしいけど…。
深く溜め息をついた。
「俺に一目惚れするやつって…ろくなやついねぇ…」
「鳴は?」
「鳴は一目惚れじゃないだろ…。はじめのころ超ビビられてたし。…あれ、そういやなんで俺のこと好きになったんだろ」
「知らねえ。つーか話戻すぞ。結論から言う…このパーティーには行け」
「なんかメリットあんの?」
「グラナートファミリーは知ってるだろ?」
「ああ…最近凄い勢いで急成長してるとかっていうファミリーだよな。数年前までは格式ばかり高くて、経済力はあったけどマフィアとしてはいまひとつって感じだったんだろ?」
「今じゃキャバッローネと並ぶくらいだからな…。ロートファミリーとグラナートファミリーは昔から交流があったらしいんだが、今回のパーティーにはグラナートも呼ぶらしい」
「つまり…グラナートと友好関係を結ぶチャンス…ってことか」
ミルフィオーレのときみたいなことにならないとも限らないし、さっさと仲良くなっとくのが得策ってことだろう。
とは言ってもグラナートは穏健派で有名だし、黒い噂も聞いたことがないからあんまり心配いらないとは思うけど。
「…わかった行くよ、それ」
「他の守護者も連れていくぞ」
「了解」
いろいろ頭が痛いけど、そうもいってはいられない。
俺はリボーンが出ていったのを見送ってから、ほったらかしになっていた書類に向き直った。
今はとりあえず、目の前の書類の束をどうにかするのが先決だろう。