クロックモノ
□トモダチ
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なんだか今日は調子が良くない。
体とかそういうものではなくて、所謂『心』と呼ばれるものの。
朝起きて、カーテン開けたらとても綺麗なアオゾラが広がっていた。
――それがとても疎ましく見えて
こういう時は、決まって調子が良くない。
(…なんだか、誰にも会いたくない。)
最近こんな気分になることなんて全くなかったのだけど、三年になったばかりの俺には生徒会やら進路やら、いろいろなものがふりかかって少し疲れたのかもしれない。
(はぁ。)
それでも学校には行かなくちゃいけないわけで、重い気持ちを抱えたまま学校へ向かった。
教室に入るといつもの二人が近づいてくる。
「やや、愛しのジュリエット。オハヨウ。」
胡散臭さ満載の自称美形キャラ男と
「ジュリ江、おはよーぐると。」
不思議系ユルキャラのトビウオが。
「はよ。」
なんだかまともに話す気分になれなくて、挨拶を交わした後さっさと席に向かった。
ちょうどチャイムが鳴り響き、彼らとそれ以上話をせずに済んだ。
程なくして、授業が始まる。
まぁ、こんな気持ちのまま授業受けたって、耳に入ってくる言葉は俺の脳にたどり着く前に反対の耳からぬけてしまう。
(こんな気持ちでいたって仕方ないのに。)
それをわかってはいるのだけど、なかなか気持ちの整理が出来ずにいた。
休み時間のチャイムがなるとすぐさま教室を出た。
アイツラと話したくなくて。
(もう少し元気になってから。)
そう思って、一人になるために屋上に向かうと、もう一人の強敵がいた。
「先輩!!」
図体のデカイ、二重人格犬が。
「ん、じゃあ。」
そう言って、すぐさま踵を返す。
「待ってください、先輩!」
走ってくるから慌てて屋上の重い扉を閉めて、小走りに逃げた。
(あー、俺本当に変だ。)
別に逃げなくたっていいだろ?
それがおかしいことくらいわかってるけど、元気がない日は体が勝手に反応してしまう。
(ごめん、高階本当にごめん。)
心の中で何度も何度も必死に謝りながら、休み時間が終わる教室に戻った。
人間そんなに簡単に変われるもんじゃない。
頭でわかってたって、以前感じた負の感情に飲み込まれてしまう時がある。
(昨日までどう過ごしていたのかな。)
そんなことまで思い出せなくなっていた。