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□気まぐれな彼のセリフ
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「ねぇ、恭弥!!!!」
私はいつものように応接室のドアを勢いよく開けた。
「……うるさいんだけど。」
いつもと同じ、不機嫌そうな彼の声。
「ウルサイ!!ウルサイ!!!」
彼の頭の上の黄色い鳥が主人の言葉を真似て繰り返す。
私は恭弥の頭の上でぱたぱたと羽ばたきをするヒバードを見ながら言った。
「……恭弥って動物好きだよね。」
「まぁ、普通に。」
『どこがだよっ!!!』ってツッコみたい、私は普通だよね。
私は知ってるんだぞ!!
ヒバードに最高級の鳥のエサを与えていることを!!!!!
「…………じゃあ、私のことは?」
ツッコみたい気持ちをなんとか抑えて、恭弥に尋ねる。
恭弥は少しの間、書類を片付けるのを止めた。
……どうやら、考えているらしい。
「………嫌いじゃないけど。」
しばらく間を置いて返ってきた言葉はそれだけだった。
それを聞いて、私はガクリ、とうなだれる。
『嫌いじゃない』ってことは『好きでもない』ってことだよね………。
「……恭弥は、どうしたら…私のこと、好きになってくれる?」
私の口からポロリ、と零れ落ちた言葉を聞いて、恭弥は片付けていた書類から顔を上げた。
(彼にとって『嫌いじゃない』=『好き』だということだということを私が知るのは――)
(……数分後のことだった。)
title by 確かに恋だった