Book
□私の人生における二次災害
2ﾍﾟｰｼﾞ/23ﾍﾟｰｼﾞ
「………………ん………ぐ…………………………焼肉定食っ!!!!!」
私はガバリ、と起き上がった。
そして、辺りをキョロキョロ見回す。
見知らぬ真っ白に塗り潰された悪趣味な小部屋だった。
え？
あれ？
私………生きてる？
「ざーんねん。死んでるよ。」
いきなり目の前に人間らしき物体(首から上)が現れた。
………って。
「ギャァアアァァァァアァッ!!!!!生首ぃぃいぃっ!!?」
「おぉ、いい反応だ。」
「ちょっ、近寄るなっ!!!!!私はこの世で一番幽霊とかが嫌いなんだよっ！」
……あ、ヤバい。
目から塩水出てきた。
「近寄るなぁぁぁぁっ!!!!」
そう叫びながら生首から逃げ回る。
しかし、さすが小部屋。
すぐに壁に追い詰められてしまった。
「もう逃げられないぜ。」
生首は使い古された悪役のセリフを吐いて私に近づいてきた。
「いやぁぁあぁぁあぁあぁぁっ!!!!!!!!!!」
……………どかーん。
……えーっと、何があったと言いますと、
抵抗するために適当に腕を振り回してたら、間違って壁殴った。
「…………あ、穴空いちゃった。」
新しくできた壁の穴をしげしげと眺める。
ここの壁、脆いんだね。
ふと、生首に目を向ける。
…………あれ？
体、付いてるんだけど。
「…おー、戻った戻った。」
「………………………はぁ!?」
え？あれ？
さっきまでのは……幻覚？
……さっきまで生首だった物体は首をコキコキとならしながら私に近づいて来た。
「な、何ですか？」
正直、メチャクチャ怖い。
…さっきよりはマシだけど。
「お前、気に入ったぜ。」
さっきまで生首だった物体は私にそう言った。
「………………はぁ。」
………どう反応しろと!!?
っていうかどこのヤンキー漫画!!??
「ここに来てからの第一声が『焼肉定食』なのは初めてだし、俺を見て逃げ回る奴も久しぶりだ。」
第一声、聞かれてたーっ!!!
あ、あれは二人がかりで追いかけてくる、焼肉とご飯が悪いんd「それに」
「お前なら『あれ』を任せられそうだ。」
「……………『あれ』？」
一体何の話？
「あぁ、これのことだ。」
手渡されたのは数十人の顔写真だった。
写っているのは全員ワガママそうな厚化粧。
「……………隠し撮り？」
「……ちげーよ、なんでそんな厚化粧女なんか撮んなきゃなんねーんだ。」
「こういう趣味の人、多分どこかにいるよ。」
「まぁ、これは俺の部下の秘蔵の写真なんだがな。」
「…………うわ。引くわ。」
ソイツ、絶対Ｍだよ。
命令されて喜んじゃうタイプ。
「で、問題はその先だ。他人の好みをどうこう言う趣味はない。だがな、アイツは……掟を破って必要以上にソイツらに干渉した。」
「へぇ。で？」
「元通りの場所に帰しておけと上から命令が来た。」
「へぇ、大変だね。」
「…………そこは、『手伝ってあげる』とか言うところじゃねぇのか？」
「……生憎、無神論者なんで。」
神様の手伝いをしないように心がけているんですー、と続けた。
「お前…………気づいてたのか。」
目の前にいる『神様』が驚いたように言う。
「代々神に仕えている家に生まれてね。『人間』か『神』か『それ以外』かを見分けられる程度の知識は叩き込まれた。」
こんな所で使うなんて思ってもみなかったけど。
「まぁ、とにかく面倒くさいし、自分で立てた誓いは破りたくないから嫌だ。」
「復讐ができてもか？」
「……………………復讐？」
神が発した言葉に私は少しだけ反応した。
………そんなこと、全く考えてなかったよ。
「そう、復讐だ。……お前を殺した女に。」
「別に。私を殺した女なんて興味ない。」
正直、あんな電波女とは二度と顔を合わせたくない。
「そうか。………………なら仕方がない。」
神はそう言うと、片手を上げた。
それと同時に私の下に真っ黒い穴ができた。
「……………はぁっ!!?」
えっ!!???
何コレ!?
私は神を睨み付けた。
「悪ぃな、上からの命令でお前を被害合ってる世界に転生させねぇといけないんだ。」
「えっ!?ちょっ、待t………ぎゃぁあぁあぁっ!!!!!!!」
そして、私はその穴に引きずりこまれるように落ちていった。
(おめでとうございます!!!可愛い双子ちゃんですよ!!!!!)
((……………あの野郎。マジで転生させやがった))
((……次会ったら潰す))
_