白日の夢
□白日の夢
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気分爽快、とまでいかずとも、朝霞は決して沈み込んではいなかった。悩んでも仕方がないし、どんな事情があろうと任務は今まで通りにこなすしかないのだから、少なくとも笑顔で過ごそうと決めていた。
逆に自分の感情を認めてしまえば、楽になったような気さえする。
振り向いてもらえなくてもいいと思った。忘れる必要もないと。
この感情は朝霞だけのものだ――たとえ勅令を出されても、朝霞の心まで支配する事は誰にもできない。
ただし、この思いは絶対に忍ばなければならない。けじめも付けられず、任務に私情を持ち込むようでは、優秀な部下とは言えないからだ。
楽雅の誇れる部下になれるよう、今まで通り努力を怠らず、謙虚な自分でいればいい。そうやって、朝霞は自分の心に決着を付けた。
幸か不幸か、楽雅鼎佐も変わらず朝霞をぞんざいに扱う。彼が朝霞に対して、あの日を思わせるような行動を取る事は一切なかった。
おかげで心が揺れるような事もなく、日々は淡々と過ぎていった。