法
□鮮烈に、赤
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「スネイプって、君のこと?」
図書館でのことだった。見慣れない男の子がやってきて、僕の目の前の席に陣取ったかと思うとそう顔を覗き込んでくる。
四角い縁の眼鏡をかけた彼は、にこにこと人のなつこい笑顔で僕の答えを待っているようだ。彼が付けているネクタイはグリフィンドールのものである。少しだけ、喉のもっと奥、胃に近いあたりがざわりとした。
何処かで見たことがある顔だったから、きっと同じ学年なのだろう。
そうだけど、と頷いてやれば彼は大した反応も見せずに口角を持ち上げた。
「君はマグル生まれの子とも仲良くするんだね? ほら、君の寮の人間って純血主義が多いだろう」
「……君は何が言いたいんだ?」
「つまり、さ。君は我が寮のリリー・エバンスと幼なじみだ、って聞いてね……」
思いがけず彼の口から溢れた名には確かに覚えがある。否、覚えがあるどころではない。
僕はどうして彼が自分と彼女のことを知っているのだろうかと眉を潜めた。だけれど組分けによって彼女と寮が離れるまではずっと行動を共にし、またその後も何かと用事を作っては会っていることを忘れていた訳ではないが思い出して、一人合点する。
「それがどうかしたのか」
肯定する代わりに追及してやると彼は、ふうん、とわずか目を細めて頷く。相変わらずの人なつこい笑顔に反してその様は嫌に高飛車で、とてもではないが気持ちのいいものとは言えなかった。
「好きなの、彼女のこと?」
「……はぁ?」
まったく脈絡のない言葉に思わず聞き返してしまう。彼は(恐らく)初対面にもか関わらず何の臆面もなく同じ言葉を繰り返す。
そのあまりの唐突さに、僕は返すべき言葉を失った。とっさに気の利いた、かつ真実を曖昧にぼかすことのできる答えを出来れば良かったのだろうけれど、まさかそんな問いを受けるとは思いもよらない状況ではそれは不可能だ。
いっそ彼の人なつこさを通り越して無躾な物言いに腹さえ立ってきて、文句の一つも言おうとした矢先、彼は笑顔のままでさらりと付け加えた。
「僕は、好きだよ。エバンスのこと」
「…………え?」
「悪いけど、君のような―――スニベルス(なきみそ)に負けるつもりはないから」
そう、ニヤリと歪めた顔は明らかな傲慢と嘲りを含む。そのふてぶてしいまでの笑みは―――確かに見覚えがあった。列車の中で会った、あの嫌味な………
「僕はジェームズ・ポッターだ。スネイプ、これからもよろし
く、ね?」
ひらひらと手を振って、彼は僕に背を向けて遠ざかっていく。
その鮮烈で、忌ま忌ましい出会いに―――僕は、彼の名を口の中で呟いた。
あの顔と名前を忘れまい、と固く心に誓って。
§*§*§
いっちねんせい!な鹿+猫。それでもやっぱりセブリリ思考!←
っていうかセブ→リリ←ジェみたいな!
ジェさまはふてぶてしくもこうやってリリーに近付く男を威嚇するんだ´`
猫と鹿はこうやって仲違いすれば可愛い(待て)
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