□僕は、君が眩しい
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「あの人たちって本当に嫌な性格をしているわ!」
 ひどく憤慨したように大声をあげたリリーは、両手いっぱいに抱えていた教科書をベンチの上に置くと、その隣に腰を下ろした。驚いたセブルスは彼女の横顔を見つめると、あの人たち、と言葉を反復した。
「列車ではじめに私たちのコンパートメントにいた人たちよ。覚えているでしょう」
「ああ」
「すごく傲慢で……スリザリン生とは関わりを持つな、なんて言うのよ。まったくもって余計なお世話だと思うわ」
 ぷりぷりと怒るリリーに何を言おうと無駄だということは、これまでの付き合いの上で学んだ。
 だけれどふと不安が脳裏をよぎる。
「それは、僕と君のことか?」
 外聞など気にかけるつもりはないが、自分と会っていることで彼女が謂われのない不快感を与えられるのは我慢がならない。
 リリーはふっとセブルスを振り返り、そこで本日最初の笑みをようやく浮かべてみせた。
「そうだとしても、あなたは私の大切な友達―――親友だもの。セブが気にする必要なんてこれっぽっちもないの」
 そうは思わない?
 リリーはそう言って身を乗り出した。
 真新しい黒いローブの肩の所に落ち掛った赤い髪が光を反射してきらきらと光る。ホグワーツには色々な肌や髪や瞳の色をした人間がいるけれど、セブルスはリリー以上に白くだけれど健康的な肌を、太陽に負けぬ程に鮮やかな赤い髪を、そして美しいエメラルドの瞳を、まだ見たことがない。互いに額を突き合わせて話すのは此れが初めてではないというのに見惚れるように頷いてしまった後で、彼は慌てて言葉を付け足した。
「だけれどスリザリンとグリフィンドールは昔から仲が悪いんだ。そう言われるのも仕方がないのかもしれない」
「あなたまでそんなことを言うの?」
 言葉を返すリリーは少し残念そうに眉根を寄せて見せる。声には不満が滲み出ていた。
「寮同士の仲が悪いからって話をしちゃいけないなんて、ナンセンスだわ! 本当にそう思っているのよ。ダンブルドア先生に新しい校則を作ってくれるようにお願いをしに行きたいくらい」
 そう息巻くリリーは今にも校長室に駆け込んで直談判を実行に移しそうだ。セブルス呆れたように、だけれど緩んだ顔を彼女に向けた。
「僕は、他人の言葉はあまり気にならない」
 リリーの表情がぱっと輝きを取り戻す。わたしもよ、と微笑んで小首を傾げると、赤い髪が肩口をシュルリ滑った。
「わたし、授業が楽しみだわ。ねぇ知ってる、セブ。グリフィンドールとスリザリンは合同授業の科目が多いのよ」
「喧嘩が起きそうだな」
「本当に。でも、わたしは嬉しいな―――あなたと一緒に授業が受けられたら、きっととても楽しいもの!」
「……ああ。僕も嬉しい」
 首席を賭けて競争だから、などと相好を崩すリリーに、セブルスも口角を持ち上げてみせる。





―――それは、とある月曜日の午後のこと。






(きみのことば、ひとつひとつがうれしくて!)



*§*§*§*

いっちねんせい!なセブリリ。いやセブ+リリ?
こいつら可愛すぎる。セブルスは幼い頃はわりとよく微笑んだり素直に思ったこと言ってたりしそう。リリー限定で^^

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