□ビショウ
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「よーし、一番手は佐助がいくよ」
佐助は勢いよく立ち上がって言った。悪いけど佐助で終わっちゃうから、と笑って望月の部屋へ入っていく。
望月は襖に寄りかかって火器の手入れをしているところだった。
「望月、ねぇ、聞いてよ! 佐助さぁ、すごく面白い話聞いたんだ!」
望月の前に端座して顔を輝かせる佐助。望月は面倒臭そうに顔を上げて、無言で続きを促した。
「よーく聞いててね? ……布団がふっとんだ!」
「…………………サル」
「何? 面白いかった?」
佐助は顔を輝かせて訊き返す。望月は無表情に近い顔で答えた。
「暇なら私の実験に付き合え。布団ではなくお前を吹っ飛ばしてやろう」
「え!?」
途端、佐助は青ざめて身を引く。
「まぁ遠慮するな。悪いようにはせん」
望月がつい先程まで火薬を調合していた火器を構えた。無表情なのがまた怖い。
「……わぁーっ、無理無理無理! 佐助、全然ヒマじゃないよ!!」
佐助は慌てて言うと、自身の身の安全の確保を優先させるべく逃げ出した。





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