□永久に続く日の
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 彼の肖像画は、マグルのもののように動かずにじっと押し黙っていた。
 黒縁がテラ、と反射する額をダンブルドアの隣のスペースに掛けてやると、歴代の校長たちが惜しみ無い拍手と歓声を送る。それでも彼は不機嫌そうに顔をしかめただけで、口を開こうとは、しない。
「先生、僕、先生を誤解していました」
 ハリーがそう言って頭を下げると、彼は少しばかり驚いたように目を見張った。
『……子供が、余計な気を使うな』
「もう子供じゃありませんよ。先日、三人目の子供が生まれたんです」
『そうか』
「ええ。それで―――その子にダンブルドア先生と、貴方の名前を頂いて、アルバス・セブルスとつけました」
 ちらりと隣の肖像画を見れば、ダンブルドアが嬉しそうに半月型の眼鏡の奥の目を細めた。
 一方彼は、今度は訝しげにハリーを見返す。
『私の?』
「はい。―――僕と同じ、瞳の色なんです」
 言うと、彼は途端に苦々しい顔をして、また押し黙ってしまった。喜んでくれても良いだろうに、と肩をすくめたハリーだったが、ここで彼が上機嫌になるのも気味が悪い。
 だけれど彼なりに、満更でもなさそうだ。
「あの子がホグワーツに入学してきたら、話をしてやってください」
『まだ先の話だろう』
「そうですけど。―――いじめないでくださいよ」
『……善処しよう、』
「ええ。お願いしますね」
 ハリーが笑むと、再び、歴代校長たちからわっと喝采が湧き上がる。彼は照れているのだろうか(否、きっと本気で嫌がっているのだろうけれど)、眉間に皺を刻みこむと、小さく鼻を鳴らして背を向けてしまった。







―――それは、とこしなえに続く日のプロローグ。












***


スネイプ教授は途中で校長をやめたから歴代校長と並んで肖像画がかけられていなかったけれど、ハリーが尽力するでしょう、らしいですよ(公式チャットより)。
7巻後からのハリーの教授への懐き方が半端ないと思います

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