魔
□優しい記憶
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時が過ぎても、
今日を忘れないで。
時が過ぎても、
ずっと忘れないで。
優しい記憶
8月29日、日曜日。僕の誕生日まで、あと二日。
ハリーはカレンダーの日付を見つめて呟いた。あと二日とはいえ、「今日」はもう残り一時間と少し。実質あと一日だ。
明日の今頃は、誕生日が待ちきれなくてわくわくしているのだろうか――――いや、それは天地が引っくり返ったとしても有り得ない。今まで誕生日を待ち遠しく感じたことはない。プレゼントなんかもらったことはないし、ダーズリー家の連中がハリーの誕生日を覚えていたこともなかった。
はぁぁっ、とハリーは溜め息をついてベッドに入った。
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