□Paramnesia
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†・†Paramnesia†・†


―――さあハリー、ハリー。早くお眠り。起きたら風邪なんて吹っ飛んでる。一緒に散歩に行こう。
ねぇむれ、ねむれ。安らかに。



†・†・†・†



 長い夏休みの間じゅうシリウスの側にいられるのは、ハリーにとってとても嬉しいことだった。名付け親と一緒に暮らす日々を先取りして経験しているような気分になれるし、毎日が楽しくて仕方がない。それがただ何をするでもなく、屋敷の掃除に従事する一日であったとしても。
「ハリー、君なんだか足元がフラついてない?」
 埃を被りながら本を運ぶロンは、のんびりハリーに言う。あら、とハーマイオニーが顔を上げて振り返った。
「ほんとう。顔色が悪いみたい。少し休んだら?」
「うーん、そうかな。具合が悪いわけじゃ、ないんだけど……」
 ハリーは首をかしげるが、一方でふらふらとおぼつかない足取りだ。ロンとハーマイオニーがしきりに休憩するように勧めるのを適当にあしらって、ハリーは本棚の上の方にある本に手を伸ばした。―――同時に眩暈をおぼえ、彼は本棚に手をかけた。
「ハリー!?」
 遠くで二人の声を最後に、ハリーの意識はそれきり途切れた。





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