闇の砂時計V

□08
1ページ/6ページ




「“罪”は返してもらうよ。この血は僕らシモンファミリーのものだから」


「えっ………」

「はあ?」

「なっ」

「どういうことだ?」

「わからん……」

「何を……言ってるの?」


皆が意味を理解出来ずに、困惑していた


「聞いての通り“罪”を手に入れるために、我々はこの継承式へ来た」


「“罪”が…目的……!?」


「ということは……」


「……うそ」


「…ま…まさか……」


綱吉の拳が、ぶるぶると震える


「山本をやったのって……」


「そう。僕らだよ」


「!!」


炎真は間髪入れずにそう言い、続ける


「どうしても必要なものだったんだ」


炎真は持っていた“罪”を、自分の指にあるリングにかけた


するとリングはジュウウゥ、と煙を立てた

「力をとり戻して」


リングはそのままみるみるうちに炎真の腕にまとわりつき、武器を造り出していく





「ボンゴレに、復讐するために」


そして炎真の額からは炎が灯り、さらに右腕には見たこともない武器

身体の周りには文字が書かれた何かがヴン、と回っていた



「そ…そんな………」


「…なんで……」

と呟くと同時に、綱吉は額に高純度のオレンジ色の炎を灯した

「なんでだ!!」


綱吉の叫び声のような言葉と共に、炎がさらに強く光輝いた

フォォンと、その雰囲気には不釣り合いな柔らかい音を立てながら、炎真の右腕の武器は妖しく光る


そんな炎真率いるシモンファミリーを見つめながら、そこにいる全員はただ驚くことしか出来ないでいた


「…炎が………」

「こ…古里の奴……」


そう呟いた獄寺の隣では、綱吉が額に炎を灯して拳を強く握っていた


その拳は、怒りでふるふると震えている

「お前達が……!山本を!!」
「うん。そうだよツナ君」

「………!!」

さらりと言った炎真に、綱吉は更に声を荒げる

「なぜあんなことを!!」


「彼がボンゴレの君の守護者であることにかわりはないんだ。当然の報いだ」


「なにっ!」


綱吉がギリッと歯を食い縛る。
すると突然、アーデルハイトが冷静に口を開いた


「本来ならば継承式までは生かしておくつもりだった。我々にとって“罪”を奪うまでは敵と悟られぬこと優先だったからな」

だが我々の正体を知ったからには消すのみだ。ギーグファミリー同様にな」

「なんだと!?」

「ギーグファミリーをやったのもこいつらだったのか!!」


驚く9代目守護者達に、アーデルハイトは軽く鼻で笑う


「山本武は水野薫の持っていた計画と“シモンリング”を見てしまった」


「!?」

「シモン……リング?」

「聞いたことねえぞ」


9代目やリボーンさえそう言うと、アーデルハイトは「知らぬのも無理はない」と続けた


「シモンリングは遥か古(いにしえ)より地中に眠っていたシモンファミリー門外不出の至宝であり、先日の地震で出土するまで誰の目にも触れてこなかったのだからな」


「(地震!!)」


「(オレ達が未来から帰ってくる時に、アルコバレーノの奥義によりおこしてしまったあの地震か……)」


「我々シモンファミリーは先祖の言い伝えにより、シモン=コザァートの眠る土地を守ってきた。先日の地震でその土地が隆起し、地中よりシモン=コザァートの遺品が出土したのだ」
7つのシモンリングが!!


「そしてこのリングを完全に覚醒させるために必要なのが、“罪”と言われる初代シモンの血」


炎真は“罪”を持ち、綱吉達に見せる



「なっ!シモンの血だと?」

「ボンゴレの家宝が……初代シモンの血だっていうのか?」

「9代目。それは本当なのか?」

「いいや……。聞いたことがない……」


リボーンの問いに9代目はそう答え、軽く首を振った。


「わしが先代ボスのボンゴレ[世から“罪”を受け継いだ時は、“忘れてはならない戦いの血”としか教えられなかった」

「愚かだな、\世。それこそが腐ったボンゴレの体質を表している」


「なんだと!?」


「なぜ本当の“罪”の中身を知る者が現在のボンゴレにいないのか、それは貴様達の先祖が自分達の失態を隠すべく、過去の真実を闇に葬り去ったためだ!!」


「!!」


「!!」


「どういうことじゃ!!」


9代目の表情が、いつになく険しくなる


「真実を聞かせてやろう」


それは現在からずっとずっと、昔に遡(さかのぼ)る――――――――――。


かつてのボンゴレ創世記において、シモンファミリーはボンゴレファミリーの兄弟ファミリーとして、ボンゴレの同志の中でも中心的な地位を占めていた。
やがてボンゴレは欧州(ヨーロッパ)全土の権力を手中におさめるため、当時最も勢力を誇っていた難攻不落の巨大ファミリーを攻める計画を立てたのだった。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ