愛と憎

□8話
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「甘茶蔓」

あたしの目の前まで来た彼は、あたしの摘んだ薬草を見て確かにそう言った。思わず零れてしまったような小さな声で。
彼の金の瞳には、ほんの少し影がさしていた。

「え…?」

思わず聞き返す。

「メシだってよ」

何も無かったかのようにくるりと踵を返す。



「あ、うん。
呼びに来てくれて、ありがとう」

慌てて返事を返す。
そして籠を抱え、彼を追った。
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