愛と憎
□7話
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「あたしね、2日前に、お仕事でかごめちゃんのお家に行ったの。
あ、仕事っていうのは、うちの家業の妖怪退治のこと。ていっても、雑魚しかいないんだけどね」
結芽が口を開いた。
静かだが、凛とよく通る声だ。
珊瑚に「あたしも妖怪退治屋だ」と言われ驚きながら、結芽は続ける。
「妖怪退治はすぐ終わって、かごめちゃんちでお昼をご馳走になって、で、帰ろうとしたんだけど。
変な"気"をね、感じたんだよ。
妖気とはちょっと違ってて…んー、、
悪意・・・みたいな」
結芽は時折考え込むように眉を寄せる。
「で、その根源を見つけたの。
祠・・・かな。神社の隅の、木造の」
「骨喰いの井戸の祠だ」
かごめは心の内で思った。
「その扉に触れた瞬間、見えない何かにガッて引っ張られて、気付いたら此処にいたの」