愛と憎

□1話
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「また遅刻かよ、アイツ」
「しょーがねぇじゃん?アイツ親いねぇし」
「ったく羨ましいよなぁ。怒られることないんだぜ?変わって欲しいよ、マジ」

あたし、神崎結芽には両親がいない。

あたしが小学2年の時に両親が離婚し、あたしは母に引き取られ母の実家へ行った。
すると母方の祖母が事故で他界した。
母と子2人きりになり、そんな母もあたしが小学6年の頃に病死した。

親戚がいなくなったあたしは、春休みの間に父のもとに送り返された。
そして父は、その春休み中に、見知らぬ女と蒸発した。



大人っていうのは噂話や他人の不幸話を人に広めるのが大好きらしく、
入学して1ヶ月も経つころには、あたしの家庭の事情は何故だか知らないけど保護者に、そして生徒にまで筒抜けだった。
ご丁寧に、あたしが他人を死に追いやる死神だというバカみたいな尾ヒレまでつけて。


ソレは、ある理由で他人を遠ざけていたあたしが、完全に孤立するのに充分すぎる効果をもたらした。
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