愛と憎
□2話
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「さっそく始めたいと思います。怪我をするといけませんので、この円の中にいてください。この中は安全ですので」
てきぱきと指示を出し、妖怪退治のための準備を進める。
「すっかり成長したのう、結芽ちゃん」
ずっと感激しっぱなしの由来のじぃじに微笑みかけ、結芽は静かに愛刀・日向を構える。
「では、始めます」
「長きに渡り封印されたりし妖よ、我、今この手に解き放たん。解!!」
結芽の言葉と同時に、封印の護符が破れ、巨大な何かが勢いよく飛び出した。
ソレはあたしと十分な距離を取ってくるっとあたしに向き直った。
「・・・九十九神か。ただの雑魚じゃん」
蜘蛛の妖怪、土蜘蛛だ。それも人の背丈くらいはある大蜘蛛。しかし結芽にとっては、雑魚同然のおもしろくない相手だ。
「ちっちゃ・・・。やる気なくなっちゃったから、すぐ片付けてやるわ」
結芽はニヤッと微笑い、刀を握りなおして、力強く地面を蹴った。