愛と憎

□8話
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1人思考を巡らせながら傍の籠を見る。
摘んだ薬草は八分目を越えたあたり。
楓さまに籠いっぱいの薬草をと言われたことを思い出し、ふむ、と考える。

そもそもなぜあたしは、こんな巫女さまのような仕事をしているのか。
本来ならばとっくに旅に出ていてもよさそうなものを、楓さまに霊力があるとかなんとか言われて、半ば強制的に薬草の見分け方やらを叩き込まれてしまった。
楓さまが善い人だということも100%善意だということも分かっているから無下にもできないし…。

それにしても、いつ旅に出るのか。かごめはちらりと犬夜叉を見て言葉を濁していたけど。

そういえば・・・ふと思い出す。
犬夜叉から人間の匂いがしたんだ。なぜか彼の匂いだけは毎日少しずつ変化している。今朝はほとんど妖気を感じなかった。まさか、、、

サクサクと土を踏む音が聞こえた。
噂をすればなんとやら、だ。
ごく近くに来たことを音で感じ、顔をあげた。
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