愛と憎

□1話
2ページ/12ページ


「ねぇ、結芽」

そんな周りの冷たい視線を顧みず
あたしにニコニコと話し掛けてくれるのが
今野姫華。
あたしの友達。唯一の信じられる人間。

それにしても、1年とちょっと
まったく反応の無かったあたしに
話し掛け続けた彼女の肝の座り具合は、
いくら彼女の過去があるとしても
目を見張るものがある。

「…なに?ひめ」

「なに?じゃないでしょ。もうお昼よ、お昼。遅刻しないって約束したじゃんっ」

姫華はいつもこう。
あたしが遅刻したりサボったりしたら怒る。
なんでそんなに怒ることがあるのか、
あたしには正直わからない。

だって、クラスメイトは皆
あたしをウザがってるんだから。
あたしなんて、居ないほうがいいんだから。

こんなこと言うともっと怒られちゃうから
素直に謝るんだけど。

「ごめんなさい…」

「もう絶対ダメだからねっ。約束だから」

だけど、ちょっと嬉しかったりする。
なんだか、姫華がお母さんみたいで、
お母さんと喋ってるみたいで。


あたしは、姫華がだいすきなんだと思う。
恥ずかしいから言わないけど、いつか絶対に伝えたいと思ってるんだ。
いつか・・・
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ