愛と憎
□1話
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「ねぇ、結芽」
そんな周りの冷たい視線を顧みず
あたしにニコニコと話し掛けてくれるのが
今野姫華。
あたしの友達。唯一の信じられる人間。
それにしても、1年とちょっと
まったく反応の無かったあたしに
話し掛け続けた彼女の肝の座り具合は、
いくら彼女の過去があるとしても
目を見張るものがある。
「…なに?ひめ」
「なに?じゃないでしょ。もうお昼よ、お昼。遅刻しないって約束したじゃんっ」
姫華はいつもこう。
あたしが遅刻したりサボったりしたら怒る。
なんでそんなに怒ることがあるのか、
あたしには正直わからない。
だって、クラスメイトは皆
あたしをウザがってるんだから。
あたしなんて、居ないほうがいいんだから。
こんなこと言うともっと怒られちゃうから
素直に謝るんだけど。
「ごめんなさい…」
「もう絶対ダメだからねっ。約束だから」
だけど、ちょっと嬉しかったりする。
なんだか、姫華がお母さんみたいで、
お母さんと喋ってるみたいで。
あたしは、姫華がだいすきなんだと思う。
恥ずかしいから言わないけど、いつか絶対に伝えたいと思ってるんだ。
いつか・・・