夏目友人帳 短編
□遠い遠い近い
1ページ/4ページ
『うえ…気持ち悪い』
せっかく早起きしてメイクも服も可愛く見えるように頑張ったのに、…気分が悪い
お互いの仕事が忙しくて中々会うことが出来なかった周一に久しぶりに会う
いつもは周一が会いに来てくれるけど、彼は明日の仕事が早くなってしまったらしく私が会いに行くことになった
彼も私も仕事が忙しいうえに、遠距離
寂しいときもあるけど、周一は私に沢山の愛情を与えてくれているから不安は無い
駅で切符を買って電車に乗り込む
…この時までは良かった
周一と会ったら何を話そう、何をしよう、そんなことばかりを考えていたのだから
私の駅から二駅ほど過ぎた頃、数人の女の人達が乗り込んで来た
楽しそうに話している様子から恐らく友人なのであろう
ドアを背に立っていた私の前で彼女達は立ち止まった
『…っ!?』
彼女達のキツい香水の匂いに思わず顔をしかめてしまう
加えてまだ香水をつけるつもりなのか、手には香水瓶
ああ…、勘弁してほしい
彼の待つ駅までは、まだまだ遠い‥――