ONE PIECE 短編

□僕は、恋に落ちる
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「じゃあ、また後でね」


そう言ってニッコリと笑う彼女に彼氏が出来たのはつい数日前だ


…別に寂しい訳じゃないけど、ただちょっとだけ羨ましいとは思う


はあ、溜め息一つ吐いて歩き出す

いつまでも立ち止まっている訳にもいかないから少し重い足取りで学校へ向かう


『(……今日はやけに信号に引っかかるなあ)』


長い信号待ちをしているとチリンチリンと軽やかな鈴の音が聞こえた

フッと自転車で目の前を横切った人は何年かぶりに見る幼なじみだった


『!エース…!?』


咄嗟に腕を掴む

自転車に乗ってる相手に対して危ないことだったかなと後から思った


「うおっ、あぶねェーな!誰だよ…って、不知火!?」

『やっぱりエースだったんだ!』

「6、7年ぶり…くらいか?
久しぶりだな!元気だったか?」

『うん!元気だったよ!
エースも元気そうだね?』

「おう!勿論元気だぜ!!
今不知火は何処行ってんだ?」

『あ、この近くの専門学校だよ
エースは?』

「ん、ああ…この近くの大学
お互い近い所に通ってたんだな」


へへっ、と可笑しそうに笑うエースに胸が跳ねる


『(あれ、今…?)』


「なあ不知火!ここで会ったのも何かの縁だし、アドレス交換しねえ?」


エースらしい黒いシンプルな携帯を出しながら聞かれる

私も慌てて携帯を取り出す


「お、じゃあーオレが送るな!」

『う、うん!』


┌─────────―┐
│ポートガス・D・エース│
│  登録しますか?  │
└──────────┘


見慣れない携帯の確認文字に胸が高鳴る


「ほらっ、早く登録しろよ!
次はオレが受ける番」


エースの言葉に促されるようにはい≠フボタンを押す


┌──────────┐
│  登録しました  │
└──────────┘


新しく電話帳に刻まれたであろう文字に自然と頬が緩む

さっきと同じように今度は私がエースに送る


「よしっ!登録完了!
じゃあ、オレそろそろ大学に行くから
不知火も遅刻すんなよ!!」


ニカッと眩しいくらいの笑顔で手を振るエースにトクン‥と温かい気持ちになった




 
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