□SouthOrange
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【君の気持ち】



「ねえ雲雀君、僕の手料理食べてみたいですか?」

「どうしたの君、熱でもあるんじゃないの」

「クフフ…熱はないですよ。ほら、なんでしたらおでこ触ってみますか」

「いや、別にいい」

「君のおでこは熱いですね。子供みたいです」

「ちょっ、何触ってるのさ」

「いいじゃないですか別に」

「よくないよ、」

「クフフ、顔、赤いですね」

「ば、馬鹿じゃないの」

「僕に触られるのは嫌ですか?」

「…当然でしょ」

「そうですか」


スッ


「あ」

「ん?どうかしましたか」

「…何でもない」

「クフフ」

「何、笑ってるのさ」

「いえ、ね…そうだ、さっきの質問の答え…まだお聞きしていませんよね?」

「答えも何も…君の意図がわからない」

「親睦を深めたいだけですよ。他意はありません」

「君は胡散臭いんだよ」

「クハハ、酷い言われようだ」

「仕方ないでしょ、本当のことなんだから」

「ではどうしたら信用していただけますかね?」

「さあ…それくらい自分で考えてよ」

「クフフ、それもそうだ」

「…用はこれだけ?」

「そうですよ」

「…そう」

「僕に早く帰って欲しいですか?」

「…」

「ちょっと、顔近い」

「クフフ…」

「何なの君?何がしたいの?」

「わかりませんか?」

「わかりたくない」

「それは残念だ」

「もっとちゃんと口にしてよ」

「え?」

「言葉の裏に意味を隠して伝えようとするなんて卑怯だ」

「雲雀君、」

「君はいつもそうやって相手に意味を察しさせようとする…やっぱり卑怯だよ。僕の気持ちだって君は本当はわかってるんでしょ?
…僕が許可なく応接室に入ってきても咬み殺さないのは君だけだ」

「…」

「手料理食べてみたいかなんて聞くのも、君が自分の作った何かを与えたいと思う程、僕を…」

「そうですよ、僕は君のことが好きです。
今日言うつもりは、なかったのですが…クフフ、困りましたね。やはり君といると調子が狂う」

「それは僕もだよ。
なんでいきなり手料理…」

「僕は愛情表現の方法をあまりよく知らないのですが、先日好きな人間には手料理を食べさせるものだという話を聞きまして」

「…間違ってはいないと思うけど…」

「食べてはもらえませんかね?」

「…お弁当にして持ってきてくれるなら、食べてあげてもいいよ」

「本当ですか!?」

「…うん」

「張り切って作ってきますね」

「…楽しみにしてるよ」












(そういえば、君は僕のことをどう思っているのか、まだはっきりとは言ってくれていませんよね)
(決まってるじゃない…)
(ちゃんと言ってくださいよ)
(好き…だよ)










(終)

あとがき

シリアスらしきもの二回目!
そして撃沈(笑)

でも書いててすごく楽しかったです。
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