小説 silent line -虚空の軌跡-

□第ニ話『故郷との別れ』
1ページ/8ページ

『空』について5分程だったろうか、

「そろそろ帰るか?」
ブラムスは自分に聞いた。

「帰りたくはない…。」
未練がましく言葉を吐く。
まだこの場所に居たかった。

「一緒に来るか?一人ぼっちで当てもないんだろ?」
彼は自分の心を見透かした様にまた自分に聞いてきた。


図星だ。
自分はすぐに言葉が出せずにうつむいた。
帰る場所なんか、もう無かった。


「どうしてそれを?」
重々しく言葉を返す。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ