小説 silent line -虚空の軌跡-
□第九話『月光夜』
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目が覚めると、日はもう沈んでいた。
窓から宿舎を出て空を見上げる。昼とは違い、太陽に代わって色白の真円の月が辺りを淡く照らす。
(そういえば、ここで夜空を見上げるのは初めてだな。)
薄い暗闇に馴れ、視界がより鮮明になる。月だけしか見えなかった夜空は小さな星々を散りばめていた。
自分は淡く照らされた滑走路まで歩いていき、両手を頭に組んでど真ん中に寝転がる。
「悪くないな。」
独り言を言ったあと、そのまましばらく星を見ていた。