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□心ごと、
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「…、寒ぃ」

「息が白いもんね」

「凍っちまいそうだ」

「凍ったらお湯かけてあげるよ」



こんな風に二人だけで出かけるなんていつぶりだろうか。

凍える指を擦りながら、夜の街を歩く。


二人で出かけると言っても所詮は買い出しだ。

恋人らしいことをする訳でもなく、だらだらと話しながらアジトへ向かう。



「寒いから星が綺麗だね」

「そうだな」

「次元の鼻真っ赤」

「寒ぃんだよ」



ジャケットのポケットに手を突っ込み、肩をすぼめながら歩く次元。


その姿が何だか子供のように見えておかしい。



「雪降りそうだね」

「勘弁してくれ」

「雪合戦しようね」

「んな子供みたいな事できるか」



吐き出す息が真っ白で、もうすぐ冬がやってくる事を私達に知らしめる。

すれ違う人達の吐く息があまりに真っ白で、何だか次元にくっつきたくなった。


そして、無防備な腕に飛びつくように抱きついた。



「、何だよ急に」

「寒い、からかな」



次元の腕に自分の腕を巻きつけて歩き出す。

腕から伝わってくる次元の温度が温かくて、何だかすごく幸せな気がした。







You are held on every my heart.


あなたは私の心ごと抱きしめる。




ただ、腕を絡めただけなのにね。
 

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