拝啓、私の主様

□第五章 愛でる
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「……ぅ、」



頭、痛い…。



何でだ?






(……………………………あー)



そういえば昨日…お酒、飲んだんだっけ。





(あ、ヤバい)



シードル・スイートを飲んだ辺りから記憶が飛んでる。



何もしてなければ良いんだが…。





「………………パンナコッタ」



間違った。なんてこった。



むぅ、テンパりすぎて某サディスティック星の王子の台詞が…。



じゃなくて






(半獣化してる…)



ひょこひょこ動く耳にパタパタと動く尻尾(幸いにも1本だけだ)



まさかコレをキラー達に見られたんじゃ…―――





ガチャッ



?「何だ。もう起きたのか」



「キ、ラー…」



見られた。



キラーに、見られた…っ。





『人殺し!!俺達の仲間を返せ!!』



『穢らわしい。あんな惨事を引き起こしたくせによく平然と私達の前を歩けるわね』



『九代目もよくあんな生き物を娘と呼べる。あれはもはや人ではない』



人の皮をかぶった



醜い化け物






(あ…嫌、だ…っ)



忌まわしき記憶が鮮やかに蘇り、体の震えが止まらなくなる。



それは久しく感じる事のなかった





“恐怖”






拒絶という名のそれは、向こうの世界で唯一"伝説"と謳われた私が恐れるもの。



特に仲間だと信じていた者からの拒絶は絶望そのものだ。





「…ぁ」



恐い。



何を言われるのか。



何をされるのか。



いっそ意識を失えたら…そんな事さえ思ってしまう。





キ「気分はどうだ?悪いなら薬をもらってくるが」



「………え」



キラーが発した一言は私の予想を大きく覆すものだった。



*
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