婆裟羅
□時空を越えた訪問者
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敵に戦を仕掛ける気さえも失せる麗らかな春の日。
執務を終え、気晴らしにと城内の散歩に出た松永の目が小さな花を見つめる少女の姿を捕らえる。
松「珍しいね。白夜が花を愛でるなど…」
「『明日は雨でも降りそうだ』…とでも言うつもりか?」
松「フッ…流石は白夜だね。私の事は全てお見通し、というワケかな?」
「…さあな」
彼女―――白夜は現在は忍として松永に仕えているが、その前には“平成”という遥か未来の日の本で生きていたらしい。
そこでは何でも“暗殺者”という忍に良く似た職務をこなし、幼いながらも“生ける伝説 黒姫”とまで呼ばれるほどの異名を持っていたという。
そんな少女が、何故松永に仕えるようになったのか。
それは去年の秋まで遡る。