婆裟羅

□何度目かの春-前編-
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半「……」


薄れゆく意識の中…僕は窓の外で咲き誇る桜を見つめていた。


不治の病と診断され、余命三年と宣告されてから僕はもう三度目の春をこの病室で迎えた。


つまり予定通りなら僕の命は残り僅か。


いつ死んでもおかしくないのだ。


だからといって、死に対して特別恐怖はしていない。


元々そういう覚悟はしていたからね。




だけど……ほんの少しでもいい。


死ぬ前に“彼女”の事を思い出したいと思った。















………不思議だよね。


僕はその“彼女”に会った事すらないのに。


どうして“思い出したい”なんて矛盾した事を思うんだろう?
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