物置

□無題 2
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絶妙なパスが回ってシュートを決める。

「っし!」

振り向いた先で宮城が荒い息で膝に手を当てていた。

「珍しいな?」

歩み寄り声をかけても宮城は顔も上げずにはぁはぁと肩で息をしている有り様だ。

「宮城?」

伸ばされた手が、グッと三井の二の腕を掴んだ瞬間、宮城が小さく呻いた………





耳元で誰かに名前を呼ばれたような気がして、それでもまだまだ眠り足りなくて三井は半覚醒な状態でいた。

(……誰だっけ?)

気を許したら眠りに引き込まれそうなうつらうつらとした状態は何だかひどく気持ちがいい…

ぬくぬくとした布団の中に冷たい風が入ってきて、三井はふるりと体を震わせた。

「ん」

一瞬の寒さに洩らした声をなだめるように温かい物が三井の肌を撫でていく。

(あったけー)

ゆるゆると温かい物がもたらす温もりに再び眠気が増してくる。

(?)

何だかおかしい…とぼんやりとしながら三井は思った。
もしかして肌に直接当たってるんじゃないか?
脇腹から腹の上を円を描くように。それからゆっくりと上へ上へと這い上がってくる…

(ちょっと待て!?)

ここに来てようやく頭が働き始めた三井は、薄く目を開けた。
誰かが自分の隣に潜り込んでいる。

(えええええっ!?)

三井の耳元で荒い息をこらえるようについているのは、目を閉じた宮城だ。
ということは今自分の肌を撫で回しているのは宮城だということになる。
一気に目が覚めてしまったが、あまりの衝撃に体はピクリとも動かない。

「!!」

いきなり何の遠慮もなく胸の突起をつまみ上げられて、三井は思わず息を飲んで隣の宮城を凝視してしまった。

「み、ついサン」

かすれた声を上げた宮城の瞼が震えて、三井はとっさに目を閉じた。
痛いくらいにつまみ上げて、それから癒やすように指の腹で何度もそこをいじられているうちに、芯を持ったようにジンジン痺れてくる。

不意に宮城の片手が伸びて枕元のティッシュを引き出すと、

「ウッ」

宮城の体がブルッと痙攣して、ふう…と長い吐息が三井の耳に吹き込まれた。

もぞもぞと何やら体を動かした後、宮城はそっと三井の布団から出ていった。

やがて、規則正しい寝息が聞こえてきても三井は全く動けなかった…

(な…何だったんだ?)

悪い夢だと思いたい…そんな三井の思いを嘲笑うように、ジンと胸の飾りが痛んだ。





終わり


たまたまお泊まりさせてやったら、隣で自家発電されちゃってましたよどーゆーこと!?
そんな感じでパニクる三井サンも可愛い。
翌朝、平然としてる宮城にドッキドキ!だと美味しい。
そしてお付き合い前だともっと美味しい(笑)

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