物置

□無題 5
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「腹減ったな〜」

「ッスね〜」

そういえば昨日もこんな会話をしたような気がして、三井は隣でもぞもぞと着替えている宮城を見た。

「なンすか?」

聡い宮城が瞬時に顔上げてくる。そんなことまで『電光石火』なのかと呆れながら

「何が?」

と返した。

「イヤだって見てたじゃん」

「見てねーよ」

「見てたって」

「見てねーっての!」

「なんでそう素直じゃねぇのかねー」

「意味わかんねえしっ」

脱いだTシャツを適当に丸めるとカバンに突っ込んだ。

「…小遣い上げてもらわねーと持たねえよマジで」

ぼやく三井に宮城がウンウンと頷いてみせる。

「あ!そーだ」

と宮城が声を上げた。えーっと確か…とか何とか呟きながら宮城は半裸のまま自分のロッカーをごそごそと漁りだす。
背丈こそ自分よりも低い宮城の、引き締まった背中の筋肉の動きをぼんやりと見ながら、羨ましいような妬ましいような気分になってきて三井は軽く頭を振った。

「今日さ、もらったんだよね」

キッチンペーパーとラップにくるまれた物を取り出すと宮城がヘラリと笑った。

「半分こしましょーや」

着替え終えてぼーっとしている三井の手に押しつけると、宮城はポロシャツに着替えはじめた。
包みを開くと、中に入っていたのは甘い香りのクッキーだった。いかにも手作りなソレに戸惑う三井をチラリと見て宮城は小さく笑った。
ヘンな所で真っ正直な育ちの良さが垣間見える。

「三井サン甘いの嫌いじゃねーよね?」

遠慮しないで食っていいよと念押しすると、ようやくひとつつまんで口に入れた。

「結構…旨い」

ごくんと飲み込んで、三井がふわりと笑った。
ひとつ口に入れたことで遠慮が取れたのか今度は二つまとめて頬張る。

「ちょっと残しといて下さいよ〜」

ロッカーの鏡を覗き込みながら髪を手入れしだした宮城が呆れたように言うと

「遠慮すんなって言ったのお前じゃねーか」

キシシと笑いながら三井は応えた。
そうしていまだに念入りに鏡に向かう宮城の口元にクッキーを差し出した。

「ん?」

「食うんだろ?」

「あ、サンキュー」

パクリと三井の指ごと口に入れた宮城に

「バカ!意地汚えな!」

憤慨した三井が慌てて指を引き抜くと宮城のシャツでイライラと指を拭う。

「ホント美味いな〜」

鏡越しに宮城がニヤニヤ笑う。
信じらんねーとギャイギャイ喚く三井の手からクッキーを取り返すと

「食わしてやりましょーか?三井サン?」

と、からかった。





続?

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