駄文

□ice&ice
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ジリジリと肌を突き刺す日差しにウンザリする。耳鳴りのようなセミの声が暑さに拍車をかけるようだ。

校内ワックスがけとかで中途半端に部活が切り上げられた。
午後2時の直射日光の中では、例え泣くほど手放せ無いものだとしてもバスケをする気力も沸かなくて…
時折ぬるい風が通り抜ける木陰で買ったばかりのソフトクリームを味わう。

「ソフトクリームって喉乾くじゃん」

そういう宮城は、オレンジ色の棒アイスをかじってる。

「てかさ、たまには可愛い後輩に奢れよ、センパイ」

「ぜってーヤダ。つか『可愛い後輩』いねーし」

「あ〜ゴメン、間違えた。『カッコイイ恋人』だわ」

「……はぁ?『ムカつくチビ』なら視界に入ったかもな」

「………アンタ、後で覚えてろよ」

途切れることの無いセミの声の合間に、宮城とたわいもない会話。舌先で味わう冷たさが、ぬるい風を少しだけ変えていく。

去年の夏はどうだったっけ…と、ふと思い返す。

エアコンを死ぬほど効かせた店で延々時間が過ぎるのを待ってた。他にすることもないから、たまにコーヒーを落とす真似をして。
ただただ1日が過ぎるのを膝を抱えて待っていた。『明日』も今日と変わらないとわかっていても。もしかしたらと淡い希望にすがるように…

「三井サンっ垂れてンよ!」

腕を伝う冷たさに我にかえった。コーンの底から垂れたソフトクリームが肘の辺りまで筋を作る。

「ヤベッ!ちくしょー、溶けんの早ぇな!!」

「ボーっとしてっからじゃん」

「るせー!あームカつく!」

舌で垂れたソフトクリームを舐める。加速度を増して幾筋も腕を伝うソフトクリームを何度も舐め上げながら

「クソ!ベトベトしやがる」

悪態をつきながら、崩壊しそうなソフトクリームにむしゃぶりついた。
ふと隣を見ると、ぼんやりした宮城の手のアイスも横向きにグッタリしかかってて。

「オイ、人のこと言えねーぞ」

「え?ってウワッ!!」

慌ててアイスをくわえる。オレンジ色の滴が宮城の口端から、一筋流れる。



(ヤメテ、じゃないデショ?)


ドクン、と見覚えのある熱がわだかまる。


(もっとって、言ってみて?)


絶望的な程に追いつめられて。見上げる宮城の慾を湛えた視線に逆らえない……



って、ナニ考えてンだよっ!!



冷たいソフトクリームを食べたから、胃の中までヒンヤリしていたはずなのに…
暑い空気が濃度を変えて、体内に熱を生む。
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