記念碑
□それがあなたの愛情表現
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「やっぱさ〜言って欲しいよね〜」
昼休み、席で突っ伏して寝ていた三井の耳に、クラスの女子の声が飛び込んできた。
「だよね〜」
「『言わなくてもわかるだろ』
って絶対言わね?」
「言う!言う!」
「何、それ?お約束かってツッコミたくなるし〜」
高笑いがうるさくて全然寝てられない。
ムスッと睨む三井に
「三井も言わない系だね〜」
「あ、三井は無いね〜」
断言される。
「…何がだよ」
「え〜聞きたい?」
バスケ部に戻ってからというもの、どーにもクラスの自分に対する扱いが変わったような気がする。
それ以前に、単にろくに学校に来てなかっただけなのだが。
「別にっ」
「またまたぁ」
「聞きたいくせにぃ〜」
「三井って絶対《ツンデレ》
じゃねっ?」
「わかるっ!それ、わかる〜」
再び、キャハハハと爆笑している。
なんだか遊ばれてるようで…
「るせー!バァカ!」
「でった。三井の《バァカ》」
「かっわいいね〜♪」
そう囃す割には、そろそろ本気で席を立ちそうな三井をまぁまぁとなだめながら
「ヤッコの彼氏がさ、言わない系なんだって」
「?」
「だからぁ〜」
輪の中の女子2人が向き合い、相手の肩に両手を置きながら
「好きだ。愛してる!」
「…うれしいっ」
「ガシッと」
みたいな、みたいな〜♪
「…なんだ、ソレ」
だぁかぁらぁ〜と異口同音に
「好きとか愛してるとか言って欲しいんだって話!」
「ハァ?なんだ、ソレ…意味わかんねー」
「あ〜も〜三井に《恋する》女心はわからんか」
「つか、三井にはまだ早いって」
「三井だからね〜」
「アンタ、そんなんだと彼女出来てもソッコー捨てられるよ?」
「フラレたらお姉さん達が慰めてあげっからね〜」
ゲラゲラ笑いながら、教室を出て行く女子集団に
「誰がお姉さんだ!同い年だろ!オメーらはっ」
いささか見当違いの怒声を上げる三井だった。