記念碑
□ひとりで、できるもん
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宮城の誕生日が今日だと知ったのは、朝練の時だった。
いつものように、ツルんで部室に入ったら真っ先に安田が
「リョータ、誕生日おめでとう♪」
そう言ってスポーツ用品店の袋を差し出した。
「どうしようか、迷ったんだけどさ」
ほら、リョータって好みこだわりあるし…
だから味気ないけど、テーピングテープ。
これなら、邪魔になんないかなって。
ニコニコ笑いながら差し出されて
「なンだよ〜邪魔って。
それじゃあ俺がヤなヤツっぽいじゃんかよ」
「えー?そういう意味じゃないよ」
「ヘヘッ、わかってるって」
そんなじゃれ合いを見ながら、三井は呆然としていた。
(誕生日って…全然、知らなかった…マジで?)
「宮城〜コレ」
「宮城先輩!おめでとうございます!コレ、僕達からなんですけど」
あの流川ですら
「…ス」
なんか(MD)渡してるし…
「天才ぃ〜天才ぃ〜っバスケットぉーマ〜ン♪」
能天気な歌と共に部室のドアが開き、
「リョーちん、誕生日プレゼントだぞ!」
「その前になンか言うことがあんだろ!あ?花道!」
「…?天才?」
「…ドアホウ」
「さ、桜木くん!『おめでとうございます』とか、そーゆー」
「天才だからなっソーユーのはいらないんだ!庶民とチガウ」
「いや、庶民とかそーゆーのじゃなくてさ」
「帰りに洋平達がラーメンおごるって言ってたぞ、おイワイだからな」
「ラーメンかよっ」
知らなかった…聞いてねーぞ!ンなことっ!
俺だけハブだってか!!
「安田ぁっ!」
突然の三井の怒声に、空気が凍る。
「はっはひっ」
「…ちょっとツラ貸せ」
首根っこを鷲掴みにされて、ズルズル引きずられていく安田は顔面蒼白で。
「み、宮城先輩!ヤバいっすよ!!」
「安田先輩殺されちゃいますって!」
一年トリオが口々に叫ぶ。
「ミッチー弱いからな、ヤスでも死なねーぞ?多分」
「花道、ソレ聞いたらうるさいから黙っとけよ?」
「…でもホントっすよね?」
「流川も…そのツッコミいらねーから」