記念碑

□闇に 溶ける
1ページ/15ページ

次の土日に練習試合を申し込まれた、と赤木が得意気に皆の前で告げた。去年までは、どこの高校も頼み込んでようやっと練習試合を組んでもらえたそうだ。やっぱり陵南との練習試合で1点差だったというのは結構なネームバリューなんだろうな…と三井は思った。
どこか鼻息の荒い赤木を横目で見ながら

(やっぱり『ゴリラ』だよな)

と、ほくそ笑む。そういえば桜木はどうしてもバスケ部に入部したくて、赤木にバナナを大量に献上したって言ってたっけ…

(ウホッとか言って喰ったのかな?)

想像するとおかしくてたまらない。クツクツと笑いがこみ上げてきた。

「木暮!安西先生の所で対策会議をするぞ。他の者は今日は解散だ!」

「「「「っした〜!!!!」」」」

赤木と木暮が出て行くと、堰を切ったように一年達が
「やったー」
「今度は僕らも出させてもらえるかな?」
「どことやるのかな〜」
着替えもそこそこに騒ぎだす。
「ハッハー、一年坊主諸君の出番は今回もナシだ。次の練習試合もこの『天才・桜木花道』の独壇場だからなっ」
「……テメェも一年だろ、ドアホウ」
「なんか言ったか!?このキツネ!」
「…知るか」
「ふんぬーッ!」
寄ると触るとケンカの始まる桜木と流川に、わざわざ止めに入る面子もなく。
なんとなく浮かれたムードの部室のドアが、バンッと開くと同時にけたたましいクラッカー音が炸裂した。

「「「「ミッチー聞いたぞー!!」」」」

勝手知ったる何とやら…鳴り物付きで乱入してきたのは、水戸を始めとする桜木軍団の面々だ。
ワイシャツに袖を通しただけの三井を取り囲み、どこに隠し持っていたのか紙吹雪を振りまきながらヤンヤヤンヤの大騒ぎだ。

「さすがミッチー!」
「やるときゃヤる男!」
「徳ちゃん、号泣してたぞ〜」
「よっ『男泣かせ』!」
「「「ギャハハハ〜」」」
「誰が『男泣かせ』だっ!気色悪ぃこと、抜かすなっっ」

高宮の台詞に鳥肌を立てながら三井が怒鳴ると、その様子が面白いと更に騒ぎだす。


「よーへー、なんなんだ?」

「なんだ、花道…知らないのか?」









「ミッチー、彼女出来たんだぜ」

水戸の爆弾発言は核弾頭並みの破壊力で湘北バスケ部の部室を揺るがせた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ