至宝館

□翡翠様宅よりフリリク祭リクエスト品
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読書の秋、君との秋


雲ひとつない秋晴れの日、オレはめんどくさい漢文をサボり、屋上へ来ている。
普段なら昼寝して潰す時間を、最近は読書に費やしている。
新キャプテンとして、部員を上手くまとめなくてはならないのだ。
今日は『部下をその気にさせる!魔法の言葉!』
と『尊敬される上司とは!』の二冊を抱え、屋上へ来た。
今度は今流行りの『もし〇ラ』でも読むかな…。なんて考えていると、屋上に新たな客が来た。
見間違うワケがないスタイル抜群の愛しい人、三井寿だった。
「あれ、三井サンもサボりっスか?」

「ゲ、お前もかよ…。」

「ヒデェ、カレシに向かって『ゲ、』はナイでしょ。」

「黙れチビ、オレは忙しいんだよ。」

「ただのサボりでしょ。」

とりあえず、不機嫌になったらあやすのが大変だから放置して本に目線を戻した。
いつになく静かな時間。
三井がまったく話掛けてこない。
気になって、横を見ると、三井も小説を読みふけっていた。

「三井サン

「ンだよ、気が散るだろ。」

「何読んでるんスか?」

「オレが小説読んじゃワリィかよ…。」

「全然!ただ珍しいなって思って。」

そういえば、三井さんチには広い書斎があったっけ。
そこから引っ張り出したのだろう。




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