至宝館
□さえら様宅より4444hitリクエスト作品
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―PARAPPER―
せっかくのハロウィンなんだし、プチ仮装ってどうよ?
コンセプトはいつもと違う自分。
今のままで充分とは云いつつ、そこはそれ、お祭り気分に乗っかってお互いの魅力を再アピールしようぜ!
★ ★ ★
「trick or treat!」
別室にて身支度を整えた三井は、そう云って、先に準備が終っているはずの宮城が待つ彼の自室のドアを勢い良く開けた。
「へぇ…」
軽く目を瞠った宮城が戸口に立つ三井の頭の先からつま先までを舐めるように視線を走らせ、次の瞬間満足そうに目を細める。
「イカすね。さすが三井サン」
「まーな」
と余裕の口ぶりを装いつつ、やはり別人のような雰囲気の宮城を目の前にドギマギしてしまって視線を落ち着かせる場所を見失った三井は、そんな内心の動揺をごまかす様に「お前、それ親父さんのとか?」と、とりあえず基本的なつかみから口にした。
三つ揃えのスーツを着崩し上品なアスコットタイをルーズに首元へとあしらった宮城は、どこでそんな着こなしを覚えたのか、やたらとセクシーで格好良くきまっていて。
「うん、そう。小物は自分で用意したけどね。あ、あと眼鏡も」
そう、そして極めつけは黒ぶちの眼鏡。
たまにお洒落で掛けてるのを見かけるそれは、視力のいい宮城には本来不要なアイテムのはずだが、髪を下ろしたいつもと違う横顔にさらに男振りを上げるオプションとなって三井の心拍数を加速させる。
Myアルバム
「なんか…」
ずりぃな、とまるで敗北を喫したかのような今の自分の気分がそのまま言葉となって口から零れ落ちそうになり、別に勝ち負けを競っているわけでもないのに三井は少しばかりの悔しさを滲ませて唇を引き結んだ。
「なに?」
そんな三井の心情を知ってか知らずか、上目遣いに三井を捉えていつもの挑発的な笑みを浮かべる宮城に「なんでもねぇよ」と慌てて視線を外した三井が殊更投げやりな返事を返す。
「ふぅん?」
揶揄するように語尾を跳ね上げた宮城がさも楽しげに「それにしても…」と言葉をつないだが、何故か後が続かず云い淀むように不自然な間が空いた。
怪訝に思った三井が視線を戻すと、まるで視姦するかの勢いでガン見する宮城と目が合い思わず怯んで後退る。
「相変わらずエロいね、アンタは」
「あ?なんでそうなるんだよ?」
思ってもみなかった不本意な云い分に三井が眉を潜めて語気を荒げると、「や、褒めてるんだけど」としれっと返され「それ、演劇部かどっかから借りたの?」と何事も無かったかのように続けられる会話につい毒気を抜かれた。
「え…ああ、まあ、徳男のツテでな」
たぶん、海賊をイメージして用意されたのであろうその衣装は、濃いワインレッドの柔らかい生地がたっぷり使ってある深く胸元の開いたシャツに、ゴツいベルトの嵌っている黒いパンツとハーフブーツ、そして長い布を巻いて結ぶ帽子のような頭飾りのワンセットで、徳男の案内で演劇部の部室を物色してきた三井は、運良くサイズの過不足も感じず身につけられたのをこれ幸いと一式まるごと拝借してきたのだった。
Myアルバム
「すげぇ似合ってる。アンタってばホントいつでも軽くオレの心臓鷲掴んじゃうよね」
それこそ洗い浚い持ってかれそうな男前な宮城の笑顔に、うっかり「そりゃオレの台詞…」と漏らした三井が慌てて口を噤む。
不意打ちを喰らった宮城が「え?」とその眸を丸くするのに、三井は焦って「そーだ、お前ちゃんとお菓子とか用意してんの?」と取って付けたように話を変えた。
「は?なんで??」
「そりゃトーゼンTrick-or-treatingだろ」
「あぁ…そういうことね」
「そうそう。無いんならイタズラすんぞ」
と、何故かそこでククっと噛み締めた笑いを漏らす宮城。
「じゃあオレなりの《おもてなし》で」
「へ?」
ただでさえ、男前度3割増の宮城に絶賛心拍数急上昇中の三井であるが、宮城の艶を孕んだ強い眸に射抜かれショート寸前の思考回路では気の利いた考えも浮かばない。
「《trick or treat》ってさ」
「うん?」
「どんなつもりで云ったの?」
「え?《お菓子くれなきゃいたずらするぞ》じゃねぇの?」
「受験生…もうちょい勉強しようか」
「あぁ?何様だてめぇ」
自分だって大して自慢できる成績じゃねぇだろがとつい頭に血がのぼり剣呑な視線を返す三井の機先を制するように宮城が続けた。
「いたずらされるのと、おもてなしするの、どっちがいい?」
「あ?」
「って聞かれたから《おもてなし》するほうを選んだんだけどね、オレは」
「え、なに…?」
すぐ沸騰するが、冷めるのも速い単純な構造の三井の頭が宮城の云わんとしていることを理解しようとしてその意味を反芻する。
「まぁ、いたずらされんのも悪くないけど」
「…」
「でも、どっちか選べって云うんならやっぱおもてなしする側っつーことで」
煽るような笑みを片頬に刻みつつ距離を詰めた宮城がそう云って恭しく三井の手を取った。
煽るような笑みを片頬に刻みつつ距離を詰めた宮城がそう云って恭しく三井の手を取った。
「今日はいつもと違うアンタにもうメロメロだから、思う存分《おもてなし》させてもらいます」
そして、殊更気障っぽくその手の甲へと口吻ける。
「んじゃ、一応オレからも」
「…何?」
「trick or treat?」
上目遣いの宮城が囁くように問いかけると、ようやくその真意を汲み取った三井が耳まで真っ赤に茹で上がった。
「お、俺は!もてなすつもりなんてコレっぽっちもねぇかんな!!」
「了解」
意地っ張りな年上の恋人の精一杯の意思表示に満足の笑みを零すと宮城は、三井の手を引いて部屋の中へと招き入れ、パーティー開始の合図とばかりに静かに部屋の鍵を落としたのだった。
★Happy Halloween★
え?
これってもしかして、ただのコスチュームプレイですか?
みたいな感じになっちゃってすんませーん、かむいのみ様!!
もうね…イラストの羞恥プレイ具合に泣きそうです(↑△↑)
さんざん時間掛けてこんな出来とか不甲斐なさMAXですが、そして三井の扱い非道くてホント申し訳ないですが、とりあえず、なんとかハロウィンには間に合ったということでお納め頂けるとありがたいです><
でもでもハロウィンは個人的にもなんかやりたいと思ってたので、リク頂いてすごく嬉しかったです(*'-')
今回は本当にありがとうございました!