駄文
□歯科検診
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「歯医者、行けばいーじゃん」
さも呆れたように言うのがムカつく。けれど言い返すのも面倒くさい。どうせいつだって口では勝てやしない。
「…ひどくなってくっとさ」
「時間かかるし、治療。」
多分。多分、コイツなりに気遣い。矢継ぎ早に言い募られると益々意固地になる自分の性格を見越して。噛んで含めるように適度に間を空けて…
「一緒に行ってあげましょーか?」
俯いたままの三井にニヤリと笑いながら、宮城は覗き込んだ。
「手ェ握っててあげるよ?」
うるせーと返せば笑うだろう。じゃあ握ってろよなと返せば、どうせまた可愛いだのなんだの言うに違いない。そして本当に治療中に手を握っていそうだ。
ただでさえ、歯が疼くのに…
俺の気持ちまで、疼かせないで欲しい。
「…明日、予約取る」
そう返事するのが、精一杯だった。