駄文
□ice&ice
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(も、…ムリ)
赤い舌が肌を何度もなぞり上げる。
男にしては整いすぎた顔を切なげに歪めて…髪に手を差し入れて奉仕させる。
(ン…)
いつまでたっても、たどたどしい舌の動きがタマラナイ…
って、ナニ考えてンだよっ!!
暴走しそうな想像に、グッと活を入れて口の中の棒を噛む。
まとわりつく大気の暑さが濃密で、違うアツさを呼び覚ます…
たかがアイスが溶けたくらいでこんな風にアツくなるなんて…いったいどこの中坊だよ、と宮城は自分の頬が赤くなるのを知覚した。
自分の中の不埒な想像に、こっそり横を窺えば、潤んだ瞳と目があった。
「あ…暑いッスね」
「お、おう」
「あ、あのっ明日、午後からッスよね?」
「違ぇよ、ワックス乾かすから休みなったろ」
「………」
「………」
ワンワン鳴り止まないセミの声。日差しの暑さは変わらない。
「……あ…の、よ」
「な、なに?」
「手、ベタベタなったから……お前ンち、行っていい?」
耳まで赤くなった三井に、ふいに確信して…
宮城は、思わずだらしなく緩みそうになる頬を、歯を食いしばってやり過ごした。
コートの中なら気にもならない暑さだけど。
こんなアツさを生むのなら、やっぱり夏もワルくない。
夏はまだまだ始まったばかり
終