記念碑

□それがあなたの愛情表現
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「三井先輩、調子悪そうですね?」

スコアボードを片手に彩子が話しかけてきた。

「昼、寝れなかったんだよ」

首を回しながらひどく不機嫌そうに三井が答える。

「午後イチがサッカーだったからよぉ、ちっとは寝ときたかったのに…」

「先輩、体育は出るんだ…」

「当たり前だろ?」

何を言うんだと云わんばかりの三井に

(普通の授業も受けて下さいよ)

と、心の中だけでツッコむ。

「でも何で仮眠出来なかったんです?」

「あぁ?あ〜」

昼休みの出来事をひとしきり喋ると

「な?意味わかんねーだろ?」

と、同意を求める。彩子はそっと溜め息をついて、チラリと宮城を見やった。

(リョータも大変だわ…
相手がこれじゃあねぇ…)

「意味わかんねーって事はないですけど…でも好きな人から好きだって言われるのって嬉しくないですか?」

「そぉかぁ?」

心底うんざりしたように三井が言う。

「私は言われたいですよ?
やっぱり…」

「え?」

「何にも言わないでも分かり合えるって理想だし、そういう風になりたいから、いろいろ努力してますけどね」

ニッコリ笑って

「残念ながら、まだまだそこまでに至ってないんで」

「彩子先輩!ちょっといいですかーっ?」

コートの端から声がかかる。

「先輩も、たまには言ってあげてみたらどうです?」

手にしたスコアボードで壁を作って

「絶対、喜びますよ?」


《リョータが》とは伝えなかったけれど…
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