記念碑
□ひとりで、できるもん
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部員の少ないバスケ部は、親睦の意味もあってちょっとした『誕生日会』をしている。
部員全員からのプレゼントに安西先生からの差し入れをいただくっつう素晴らしいものだ!(by三井)
出戻った直後にも分け隔てなく俺の為に開かれたソレを、宮城は断ったと言う。
『今年は、ソレどこじゃなくなると思うンすよね』
そう赤木に言ったと。慣習だからと粘る木暮に
『全国優勝と合わせて祝って下さい』
と、頭を下げた…らしい。
半泣きしながら語った安田の話に愕然とした。
「一応リョータの気持ちは分かったけど、でもやっぱみんないろいろやりたいだろうからって。各自で祝ってやれって部長指示だったんです」
聞いてねーし…
「じゃーなぁ」
「リョーちん、まったな〜」
奢りのラーメン屋の店先で桜木達と別れた。いつものように並んで帰る道すがら、三井の背中は丸まったままでずっと顔を合わせない。
「ラーメン、旨かったッスね」
「奢りだと思うと、よけー旨くなる感じしません?」
「てか、なんで口きいてくんないの?」
「…どういうつもり、」
「なンか言いました?」
「どういうつもりだっつったんだよ!!」
振り向き様に宮城の胸ぐらをつかみ、
「何が全国優勝と一緒だ!スカしたこと、抜かしてんじゃねーよっ!」
力任せに宮城を揺さぶってみるが、三井の腕力では揺るぐはずもなく。
「…そいで口きいてくんなかったんだ」
掴みあげる両手にそっと指を乗せた。
「テメーから誕生日言うのって恥ずかしーじゃん?」
「催促っぽいし」
それにさ、
「アンタとこーして居れるってだけで、俺には毎日プレゼントもらってるのとおンなじだからさ」
ニッコリ笑うと、手繰り寄せるように三井に手を伸ばして口付けた。
とりあえず往来で、ンなことするなと一発殴ってから2人で宮城の家へ向かった。
途中、三井サンが携帯をかけた。
「宮城ンちでべんきょー会なんだよ」
そんな事を言い出すから、フォローじゃないけど途中で電話を代わって…
「ごめんなさいね〜?もうホント、宮城くんにはお世話になりっ放しで…あの子ったら、家でもいっつも宮城くんの話ばかりしてるのよ」
なんて、聞いたのは秘密にしとこう。