YUKI

□present from YUKI
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夏休みなのに忙しい先生だけど、今日だけは特別

夕方から二人で少しだけ遠出して、お誕生日ディナーを予約してる時間までドライブ

通りがかったフラワーショップで車を止めると、由紀が車を降りて助手席のドアを開けてくれた

降りようと思ったらフラワーショップから店員さんが花束を持ってまっすぐにアタシに向かってくるからキョトンとそれを見つめる

「お待たせいたしました」

と手渡されたのは、たくさんピンクのバラ

……わ♪
先生からのプレゼント??


感激してるとそのまま由紀はドアをしめてまた運転席に戻って車を発進させる


「こんな花束もらったのはじめて」

「そうか、そりゃ良かったな」

「嬉しい、エヘへ」


なんてウキウキしてると車を大きな公園横に駐車して由紀は車を降りていった

アタシは大切に花束を抱えて一緒に降りる

「まだ時間あるからちょっと休憩」

と由紀はジャケットを置いてベンチに座ったから、アタシもその横に座った

「これって、もしかして……年の数のバラ?」

「ああ、そうかもな」

「ホントに??」

と1、2、3、4、5……と数えてみる

ん?
あれ?
3本足りない

ともう一度数えていると、由紀がアタシのひざに頭を置いてベンチに寝転がった

やっぱりもう一度数えても3本足りない

「由紀、3本足りないんだけど」

「ん?」

由紀は(へえ)って興味なさそうにタバコをくわえた

「3本も足りないよ?」

「んじゃ、花屋がまちがったんだな
ま、気にすんなよ」

……3本も?
せっかくの誕生日なのにッ!
初めての花束なのにッ!
(気にすんなよ)で終わり??

え〜〜!
え〜〜!

とクレームで脳内が埋め尽くされてるのに、由紀は素知らぬ顔で

「あ、ライター……ジャケットのポケットに入ってるからとって」

って!!

ふくれっつらで雑に由紀のジャケットに手を突っ込むと、指に違和感

ゆっくりと取り出すと、バラのキーホルダー

「これ……」

「ああ、それな、お前俺のマンションの合鍵にだっせーひもつけてるだろ?
あれ見ると萎えるから、それつけろ」

一つバラが増えた

「ライター……」

と急かされて、アタシはジャケットの反対のポケットをまさぐると……バラの絵が描かれた香水の小瓶

これで、バラ2本分
由紀の意図がわかった

アタシは由紀がくわえてるタバコをピッと抜き取ると、膝枕で目を閉じている彼の唇にキス

「ありがと」

「……男に囲まれて、いっつも男くさいから……せめてそれつけてろ」

照れ隠し??
もっと、優しく「おめでとう」とか言ってよ


「由紀、あと1本はどこに隠してるの?
ジャケットの内ポケット?」

と聞きながら早速バラの絵が描かれた香水をシュっと首元にかけると、由紀が体を起こした

風が巻き起こってバラの香りが広がる

「スゲーバラの香り」

って由紀は鼻で笑って……

「お前が最後の1本」

とアタシに優しくキスをした


+あとがき
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