Dearest ー記憶の欠片ー
□第3夜 ー新選組ー
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総太side
俺が目を開けると目の前におじさんが顔を綻ばせた顔があったのでビックリした
「ひっ…!!」
俺はかけ布団をつかんでベッドの端によった
「ち、近づくな!!」
「ま、まぁまぁそんなに怖がらないでくれ」
「………。」
この人…さっきみた記憶にいた…名前は確か……
「あ、あんた………こ、近藤さん?」
「!!!!総太くん!!」
「ひっ…!」
この人、嫌だ!!怖い…!!
「あ、すまなかったね。」
「………」
俺は布団をかぶり身体を守るようにした
「……。」
近藤side
総太くんは記憶が戻っていないのか…?
それにこの怖がりようは…何かあったんだな。
聞きたいことがあったんだが無理そうだな
「総太くん、聞きたくなくなったら何時でも言ってくれ」
「………」
「昔、まだ徳川が世を納めていた頃"新選組"という京都を守る今でいえば警察のような仕事をしていた組織があった。動乱の幕末で新選組は懸命に戦い続けた。新選組は表では警察活動。裏では変若水という人を化け物にする薬の仕事を行っていた。」
総太side
羅刹…先程、記憶の中で聞いた羅刹…いったい…何なんだ?
「羅刹は使った人の寿命を使って力を増幅させ恐ろしい吸血衝動が起こってしまう危ない薬の実験をしていた。何年か続けてあれは…確か文久3年の12月……不思議な少年たちが表れてな、4人組で2人は双子の兄弟でな、まったく性格はよく似た双子だったよ。双子のうち1人は不思議な力を持った少年でな、なんとある人の幼なじみだったんだ。」
ーツキンー
頭に小さな痛みが走った
「4人組が来て半年後、池田屋事件という新選組にとっても不思議な力を持った少年にとっても大きな事件が起こった。彼の同胞と言われる青年がおってな、青年は東国の鬼の頭領でな、鬼の彼は不思議な力を持った少年に目を付けて狙っていたんだ。そして、彼には仲間が二人いてね彼らは幾度となく新選組のじゃまばかりしていたんだ」
同胞…彼らは人間じゃ無いのか?
「激しい時代の移り変わり、いろんなことがあって力を持っていた少年は混乱して風邪をひいたりなど少年の心は不安でいっぱいだった。そんな時、少年を支えていたのは幼なじみの青年だった。二人はいつしかお互いに恋をしていた。だけど二人にお互いに事件が起こったんだ…。青年は少年を護るために羅刹に、少年は青年を護るために命の危険があったにも関わらず自ら重傷を負ったんだ。丁度、時期的には一緒だったから互いに心身ともに傷ついていた」
どんどん酷くなる頭痛…。
胸に、ぽっかり穴が開いた感じがする
何か…喪失感が…ある
「でも、二人は苦楽を共にし幸せを掴んだ。幸せをつかむ前には色々困難なことはたくさんあった。それでもお互いに二人は諦めずにお互いを強く想い愛し合ったから幸せを掴んだんだと俺は思う。二人は後の時代も強く生きたんだ。」
「………」
「どうして俺がこんな話をしたかわかるかい?」
「………」
「君は…この話を聞いてどう思った?」
「………喪失感…みたいな……」
「そうか。なら話したかいはあったな。」
布団からこっそり近藤さんを見ると嬉しそうにしていた。
ワケがわからない。
この人は俺にあんな話をして何がしたかったんだ?
「君は……「ガラ」…お、トシじゃないか。」
「おい、近藤さん!?保健室に無縁なあんたがどうして保健室にいるんだ?」
「少し、昔話をしていてね。」
土方side
ったく、二宮の野郎…!!
入学式サボってHRサボって、まるで総司じゃねぇか!!
おまけにほかの先生を使って放送で呼んどいたのに全くきやがらねぇ!!
明日来たら説教だな。
そんな事を考えていると
「悪いんですが、10分程保健室の留守番をしていてくれませんか?これから会議があるので」
山南さんに頼まれ、保健室に向かったら近藤さんと知らない奴が布団にくるまっていた
「布団にくるまっている彼は二宮総太くん。トシ…これでみんな揃ったぞ!!」
「二宮!?…ったく……で、何が揃ったんだよ。」
「ん?新選組が 」
新選組…?
なら、二宮は…!!
「総太か…?」
「あぁ!!…だが、記憶が全くないらしいんだ…。」
「そうか……おい二宮。俺はお前のクラスの担任の土方歳三だ。これは今日配られたプリントだ。全部明日提出だからな。いいな?」
二宮もとい総太は震えながらプリントを受け取ると走って保健室を出て行った。チラリと見えた白髪は、総太だなと尚更確信できた
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