戦慄の絆

□戦慄の絆 032
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「さぁついに始まります、雷門対究極チーム『ゼロ』の戦い!実況担当はフィフスセクター専属、居郷学がお送り致します。キックオフは雷門から」




ホイッスルが鳴り、雷門は剣城がボールを蹴り出した。それに加え、雷門の攻撃陣は一斉に動き出す。真っ先に斬り込んだのは錦だった。パスを受け取る気合いの咆哮とともに駆け上がる。対角線状を走る天馬に、錦がアイコンタクトを送ってきた。




「いくぜよ、天馬ァ!」




「はいっ!」




だが砂塵を蹴立ててつっこんできた白竜が、錦がボールを天馬へ蹴り出そうと足を振り上げた瞬間、奪い去っていった。影山も追いつけず、白竜に追随するゼロ攻撃陣が雷門サイドに深く駆け上がってきた。もちろん、シュウヤとシュウも…




シュウは天馬とすれ違いざま、冷たい視線を投げかける。




森で出会った、あの日の視線を天馬は感じ取った。




逆に剣城はシュウヤとすれ違いざま、シュウヤと目が会った。まるで、何かを求めるような哀しげな視線を投げかけてきた。




雷門ディフェンス陣が守りを固めようとボールの行方から目を離さず、白竜を中心としてゼロ攻撃陣を包囲にかかった。




二つのチームから選択されたゼロ攻撃陣はエンシャントダークのメンバーが中心である。マイナスの力で鍛え上げた彼らのプレイは雷門に焦りをさらに駆り立ててるようなパスの翻弄である。




彼らはノールックパスを繰り返し、霧野たち雷門ディフェンス陣に動きを悟らせない。霧野も車田も、チーム一の機動性を誇る狩屋をもってしても白竜、シュウ、シュウヤ、そしてカイたちダーク選抜メンバーのプレイングについていけない。




「これが究極ってことかよ!」




パスカットに突っ込みながらもあえなく空振りのスライディングをする羽目になった狩屋が地面を叩いて吼える。




序盤から既に相手のペースだ。神童はこの状況を打開するため、パスの翻弄のさなか、雷門の気持ちを一つにまとめようと必殺タクティクス『神のタクト』の構えをとった




「みんな、行くぞ!神のタクト!」




神童の指先が指揮者のように優雅な曲線を描き出した。彼の闘気が光の道筋を作り出し、雷門メンバーの心を一つのシンフォニーのように編み上げていく。そして彼は見抜く。今、ボールをキープしたシュウヤの行動範囲に出来た僅かな隙を。




「剣城!そこだ、行け!」




剣城は光の道を追って走り出した。地面を蹴る足が、神童声を受けて加速する。風に髪をなびかせ、前傾姿勢でシュウヤへと一直線に突進していく




シュウヤは向かってくる剣城の目を見据えた。十分に引きつけた上でジャンプし軽々と剣城の頭上を跳躍し、空中でパスを放った。




しかし




シュウヤのパスは白竜に通ることなく観客席にぶつかった。




静まり返るフィールド




「おーっと、どうした!シュウヤ選手、絶好のパスチャンスをミスしてしまったぁ!」




シュウヤ「…な…んで…!」




シュウヤはペタリと地面に座り込んだ




余程、ショックだったことが目に見えてわかる。そこに白竜ではなく…シュウが行った











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