君に会えて

□君に会えて 第28夜
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総司side


僕は総太くんと共に大阪城に向かった



総太くんと勲さんはすぐ松本先生に診てもらった



けれど、総太くんの傷はなかなか回復しない



松本先生もわからないらしい



そして年明け直後



鳥羽伏見の戦いが始まった。



勝ったのは、薩摩藩



新選組の面々は、大阪まで逃げ延びた



奇跡的に全員無事だった



源さんが軽傷をおったらしい。



とにかく無事で良かった



新選組は江戸に向かった慶喜公を追って大阪を離れた



大阪についても頭を占めていたのは
総太くんの怪我のことばかり



僕達は新選組を離れ松本先生が
手配してくれた、小さな隠れ家にいた



それが、今の住むとこだった



そこにいても総太くんは寝たきり状態だった



弾丸を取り除いても傷がまだ塞がらなくて辛そうだ



僕を庇って受けたこの傷…



僕のせいだ…



彼が人間なら死んでいた



生きているのも奇跡のようなものだと思う



でも、総太くんは鬼なのに傷が治らないなんておかしい



最近、総太くんは凄く魘されている



総太「う…お………き……」



総司「総太くん!?」



総太くんは僕に腕を伸ばしてきた



僕はギュッとその手を優しく握った



総司「…総太くん…ごめんね…。」



僕が謝っても起きてくれない。



総太「ぐっ……、うぅ……!」



総司「総太くん…!!」



悪夢と戦ってるの?



それだったらまだいい



でも傷の痛みと戦っているんだよね…



彼の額に浮いた汗を、濡らした布で拭う



この動作はここに来て総太くんが寝たきりになってからずっと行っている



誰に行わせるわけでもなく僕がやっている。



こんな事しかできない。



薬を作ることだって身体にいい料理だって何一つできない



総司「僕は苦しんでいる総太くんに何もできない!!」



総太「そんな……こと…ねーよ…」



総司「総太くん!!!」



総太くんが微笑みながら見ていた



総太「寝ないで…俺の…傍にいてくれただろ?」



僕はいつの間にか抱きしめていた



総司「意識が戻って良かった…。」



総太「沖田…俺にかまけて、殆ど寝てないだろ?」



総司「…」



総太「俺が痛みに起きたときだって夜中だってずっと俺の傍にいただろ?」



…僕が寝ている間に何かあったらと思うと寝れなかったんだ…

君に嘘つくの嫌だけど…


総司「………ちゃんと寝てるよ」



?「嘘です」



総司「!?」



この声…山崎君



総太「やっぱり…」



山崎「彼は睡眠時間を削って君の看病をしています」



総司「よけいなこと言わなくていいよ」



山崎「そうは、いきません
君からも彼に休むよう言ってやってください」



総太「沖田、俺はもう大丈夫だ。だから休め」



総太くんが大丈夫って言うんなら大丈夫だけど…



でも、君がもし死んだらと思うと不安なんだ…



僕…いつからこんなに弱々しくなったんだろうね…



総太「はぁ……“総司”俺は大丈夫だ
俺が元気になったときに総司が倒れたら俺が次責任感じるしな…だから今は休め」



総司「総太くん…総司って……!!!!!」



総太「そう呼んだ方が聞いてくれるかなって思ってさ」



総太「あ、そうだ…総司を庇ったのは総司が役立たずだとか、弱いとかそう思ったわけじゃない。俺がそうしたいと思ったからだ。」



総司「!!!」



総太「また明日会いに来いよ。」



総司「はぁ…今回はそうするよ。
またね総太くん。あ、死んだら僕も追っていくから」



総太「死なねーし」



僕が安心したとき



総太「げほっ!!…」



ーぱたりー



総司「総太くん!?」



山崎「!!!!?」



僕は急いで総太くんを布団に寝かせた



丁度松本先生が来た



松「傷が開いたわけじゃないな
体力も戻ってないくせに無理して起きあがったんだろう?」



松「…これは総太くんが悪い」



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