短編

□おくりもの
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う―――――――――む。

俺、櫻井孝宏は今、
悩んでいる。

「俺って・・・とんでもない乙女思考なのか??」

俺の最愛の恋人、鈴村健一。

俺達は男同士だという障害も
2人で乗り越えてきた。

もう健一には骨抜き状態。

そんな愛しい人の誕生日が
もう明日に迫ってきているというのに。

「くっそー・・・付き合う前は
全然問題なく選んで贈れたのに・・・」

まだ誕生日プレゼントが決まってない。

コレは大変マズい。

単純な性格のアイツはきっと、
プレゼントをあげたら

『孝宏・・・ありがとうっっ(ギュッ』

と満面の笑みで
俺の中身が飛び出るくらいの勢いで
抱きついてきて喜ぶのだろう。

だが。

そんな単純な健一のことだ。

プレゼントをあげなかった暁には・・・

『恋人の誕生日だってのに、
祝いの品の一品もないんかっ!!
期待しとったのにっ!!!』

と、そっぽを向いて、1週間は軽く
へそを曲げてしまうのだろう。

それは困る。大変困る。

付き合う以前は恋人だという意識が
なかったせいか、健一の好きそうなものを
軽く選んで贈っていた。

だが恋人であるということを
意識してしまうと、妙に慎重に
なってしまってなかなか選べないのだ。

「指輪は・・・この前贈ったしなぁ。
かといってゲームとかは・・・ムードがないか・・・」

そうしてかれこれ3時間。

街を徘徊している。

健一と仲がいいヤツにも相談した。
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