短編

□妬いたっていいじゃない
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ここのところ、俺も蛇足さんも忙しくて
しばらく会ってなかった。

だが珍しく蛇足さんの方から飲みに
誘われた。

そんなことは滅多にないから俺は
何が何でも会いたくて、別の日に仕事を
詰め込んで無理矢理予定を空けた。


そして当日。


「・・・・・何故こうなった」

蛇足さんの横には何故かclearが
着いてきていた。

いや、clearは嫌いじゃないよ?
むしろ好k(((((

でも・・・久々に殿に会うなら2人きりが
いいっていうか・・・・・


「とりあえず、飲もうよ」

蛇足さんはそそくさと席について、
メニューを眺め出した。

結局何も反論出来ず、俺も黙って
席についた。

何品かつまみや酒を注文し、最初は
ちびちびと飲んでいたが時間が経つにつれ、
飲むペースが上がってきた。

それから2時間程経ち、俺達はいい具合に
酔ってきた。

「ちょっと、トイレ」


殿はフラフラと席を立ち、店の奥の
トイレに姿を消した。

「あははっ、蛇足さんフラフラだったね」


clearが笑いながら言った。


「大分酔ってたじゃん(笑)」

「そうだねー」


Clearはほんのりと赤い顔で俯いた。


「蛇足さん・・・・格好いいよね」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

そりゃあ、蛇足さんだし。

誰が見ても『格好いい』って
言うだろうなぁ。


Clearは今は空席の殿の席を見つめ、
うっとりとしたような視線を送る。

そんなClearの横顔を見つめていると胸が
モヤモヤとした感情で埋め尽くされた。


蛇足さんを人に認めて貰うのはすごく
嬉しい。

だけど・・・・・・・・・



蛇足さんを独り占めしたい。

店で殿と会ったとき、側にいたClearを
見てざわついた俺の感情。

Clearは好きだ。

だが蛇足さんを好きであるのとは全く
違う感情。


こんな自分は嫌いだ。

俺は何て心が狭いんだろう、と自分自身を
責めてしまう。


Clearも・・・やっぱ殿のことが
好きなんだなぁ。



「ぽこた?」

「え」

「大丈夫?もう大分回ってきてない?」

「・・・大丈夫」

「ならいいけど・・・ていうか赤いというより
顔色が悪いよ?」

「そう?」

自分では特にそうは思わないけど。


「ただいまー」

「あ、おかえり」


Clearと話しているうちに蛇足さんが
戻ってきた。


「なに、何の話してたの?」

「いやー蛇足さんは格好いいなって」

「いえいえそんな。Clear程ではないから」

「いやいやいやいや。それだったら
ぽこたんだって」

「へ?」

「ちょっとぽこたんー、流れ止めないでよ、
折角僕が振って上げたんだからー」

「あー、うん」


やべ、ボーッとして話聞いてなかった。
やっぱ酒が回ってきたのかな・・・・・。


「ぽこた、大丈夫?」

「平気ですよ???」

「なんか今日・・・元気ない」

「そうですかね?」

「ぽこたん、風に当たってくれば?
酔ってきてるんじゃない??」

「そうだね、うん。ちょっと外出てきます」

「いってら」
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