短編

□紅茶はいかが?
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「おいアリス、起きろ」

「起きてるよ」


俺は今日も、帽子屋にきっかり6時に
起こされた。

というか起きていたんだが。


毎回毎回耳をつんざくような銃声で
起こされるのはまっぴらだ。


「ったく・・・ガキはいいな、いつまでも
グースカ寝ていられるんだからな。」

「っるせえなぁ」

外を見ると、真っ暗。
部屋の時計を見ると、夜中の3時。


・・・・・・・はぁ、またか。

毎回毎回夜中に叩き起こされるもんだから
最近はもう慣れてしまって、眠くも何とも
なくなってしまった。

「このまま俺も帽子屋みたいになっちまうのかなぁ・・・」

「あぁ?何か言ったか??」

「別にー」

「だったらもう行くぞ」

「あ?何処に行くんだよ??」

「女王陛下にお茶会に誘われている」


こんな時間に行っても、ハートの女王は
寝ているんじゃないのか?

まぁそんなことを口にしても、帽子屋には
『もう6時だ』と流されるのだろうが。


「ほら、早く出掛ける準備をしろ」

「あいよー」

俺は洗面台に向かい、歯を磨いて顔を洗う。

すると、帽子屋が鏡越しにこちらを見て
いた。

「・・・なんだよ」

「寝癖。」


帽子屋は俺の頭を小突く。
当たり前のように触れられて、何故だか
胸が少し疼いた。

触られた頭もいつまでも熱を持っている。


・・・・・・・何なんだよ、これ。

最近、こんなことがよくある。
自分でも理由がよく分からない。


「アリス?」

「い、いや・・・何でも」

「ボサッとしてんなよ」


帽子屋はクシも入れていないような
くせっ毛を一つに結い、帽子を被った。

「ホラ、行くぞ。」

「あ、あぁ。」


俺達はハートの女王の元へ向かった。
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